トレンドフォロー(第5回)
最終更新日: 2025-03-14
ページ制作日: 2024-06-14
トレンドフォローとは
トレンドフォローという売買手法を紹介します。この手法は、トレンドを追いかけるという基本的なアプローチです。第2回で紹介したタートルの売買手法の基本はここにあります。タートルの手法に加えてオリジナル手法も加えながら解説していきます。
トレンドフォロー
トレンドの詳細についてはこちらをご覧ください。

トレンドフォロー手法において重要なポイントは二つです。まず、トレンドの認識を正しく行うこと。次に、リスク管理をきちんと行うことです。この二点に着目し、相場で勝つための(まずは負けないための)テクニックを紹介します。

大衆が負ける理由
個人投資家が相場で利益を上げるという話は、損失の話に比べて耳にする機会が少ないものです。ここでは、多くの損失を抱える投資家を「大衆」と位置付け、その理由について考察します。

図1をご覧ください。この図は、典型的な上昇トレンドを示しています。ある投資家が相場の上昇を予測し、「A地点」で買い建玉を持ったとします。
の後、予測通りに価格は上昇し、「B地点」で売りの決済注文を出しました。結果として、この投資家は上昇トレンドに乗り利益を得ることができました。
しかし、B地点の後も価格はさらに上昇を続け、直近の高値を超えた「C地点」に達しました。この段階で、再び買い注文を出せるでしょうか?
C地点は、B地点よりも高い価格に位置しています。そのため、多くの投資家は「これ以上は上がらないだろう」と考え、買い注文を出せないどころか、むしろ売り注文を出すことすらあります。
一般的な売買の原則は、「安く買って高く売る」または「高く売って安く買い戻す」というものです。
しかし、トレンドフォローという手法では、「高く買ってさらに高く売る」という戦略を取ります。この手法は理屈としては理解しやすいものの、実際に実行するとなると、多くの投資家にとって心理的な壁が大きく、非常に難しい行為となります。
トレンドフォローでは、「高く買ってさらに高く売る」をしなければならない。
トレンドフォロー手法の売買は、高い勝率を誇るものではありません。一般的に、勝率は3分の1あるいはもう少し低いかもしれません。その低い勝率を少しでも上げる努力をしますが、トレンドフォロー手法の狙いは、負け幅を少なくし、勝ち幅を大きく取ることです。 つまり、負ける回数は多くても、その金額を小さくし、勝つときには大きく勝つというスタイルです。これには、リスク管理を徹底するとともに、分散投資をかんがえなければいけません。これがトレンドフォロー手法を行う際の基本的スタンスになります。
一方で逆張りは、価格が短期的に過剰に動いたときに、その動きが反転することを期待して取引を行う手法です。主に、価格が急激に上昇した後の下落や、急激に下落した後の上昇を狙います。逆張りは、トレンドが発生していないレンジ相場で特に効果的です。 レンジ相場では、価格が一定の範囲内で上下するため、レンジをブレイクしない限り、反転ポイントを利用して利益を狙うことができます。しかし、狙える利幅はレンジの上下限に制約されるため、大きな利益を得ることは難しいです。

ご自身の売買結果の分析
一度ご自身のこれまでの売買結果を分析してみてください。
勝っている人は、勝率が高いからトータルで勝っているのか、つまり負ける回数よりも勝つ回数の方が多いから勝っているのか、それとも、負ける回数の方が多いが勝ったときの利益が大きく、負けたときの額を上回っているからトータル勝っているのか。
逆に負けている人は、勝率は高いものの、勝ったときの利益がわずかで、負けたときに大きく損をしているからなのかをご自身で認識することをお勧めします。
私の経験ですとトータル勝っている人は、負ける回数は多いが、買った時の利益の方が大きい方の方が多いと思います。
年間を通じて大勝ちした経験がある様な方です。そして、負けている人はその反対に勝つ回数は多いけど(勝率が高い)勝つ時の利益はわずかで、負けた時の損失が大きい、いわゆる「コツコツドカン」の「損大利小」のパターンになっていることが多いです。

9勝1敗でも1回の損失が大きければトータルではマイナスになる可能性がある。

逆に1勝9敗であろうとも勝った時の利益が大きければトータルでプラスになることもある。
トレンドフォローは、この大きな1勝を狙いにいく売買手法です。
個人投資家が退場するチャートパターン
多くの個人投資家のトレードを見てきましたが、その多くが大きな損失を出して市場から退場してしまいます。
退場する理由として、「小さな損失が積み重なって資金を失う」というケースは稀です。ほとんどの場合は、一度の大きな損失で資金を大幅に減らしてしまいます。
例えば、以下のような相場がその典型例です。

このように、レンジ相場が長く続いた後、強いトレンドが発生することはよくあります。
レンジ相場の間は、価格が下がれば買い、価格が上がれば売るという逆張り戦略で利益を出すことが可能です。
しかし、相場がレンジをブレイクしてトレンドに転じると、環境の変化に対応できない投資家は大きな損失を出してしまいます。
特にレンジ相場が長く続くと、逆張りで利益を上げてきた成功体験が強く残り、相場の転換に気付けなくなってしまうことがあります。
最悪の場合、トレンド発生後もナンピン(損失を埋めようとしてさらに買い増し)をしてしまい、建玉を増やしてしまう投資家もいます。
レンジ相場に比べ、トレンド相場では一方方向に大きく動くことが多いため、含み損が急激に膨らみます。その結果、損切りできず、資金をすべて失うまでトレンドに逆らい続けるケースも少なくありません。
トレンドフォローの逆を行うと退場に近づく可能性が高い!
勝率よりも勝ち幅と負け幅の調整
現実の世界では、勝率の高い売買法を作ることはそんなに難しくはありません。このコラムを通じて今後記載する機会もあると思います。
ただ今回のトレンドフォロー手法においては戦略上、勝率を上げることは難しいこととなります。それよりも、勝ち幅と負け幅の調整を行う方が簡単です。
ご自身の売買結果を振り返ってみてください。そこで「なぜもう少し早く損切りできなかったのか」と思うポイントが見つかるはずです。
このような無駄なトレードを排除するルールを作ることで、負け幅を小さくできます。
また、「これだけ長く大きなトレンドが継続しているのに、なぜここ(トレンドの初期段階)で利食ってしまったのか」と思うポイントも見つかるでしょう。
これを防ぐルールを作ることで、勝ち幅を大きくできます。これらの努力をする方が、勝率を上げることよりも簡単で、勝ち組になるための近道と言えます。
トレンドフォローのポイント
- トレンドの識別 トレンドフォローを行うためには、トレンドの識別が重要です。トレンドを識別するためには移動平均線(MA)やボリンジャーバンド、トレンドラインなどのテクニカル指標を使用します。 これらの指標を利用して、市場が上昇トレンドにあるのか、下降トレンドにあるのかを判断します。
- エントリーとエグジット トレンドが確認された後、トレーダーはそのトレンドに従ってエントリーポイントを見つけます。 一般的には、価格が移動平均線を上回るか下回るといったシグナルがエントリーポイントとなります。 トレンドの反転シグナルが出るまでポジションを保持し、反転の兆候が見られた時点でポジションを手仕舞います。
- リスク管理 トレンドフォロー手法では、リスク管理が非常に重要です。トレーダーはストップロスオーダーを設定し、トレンドが予期しない方向に動いた場合に損失を最小限に抑えます。
- メンタル管理 トレンドフォロー手法を採用するトレーダーには、トレンドの変動に耐える忍耐力が求められます。市場が一時的な逆行を見せても、トレンドが続く限りポジションを維持することが重要です。 また、トレンドが継続する限りポジションを決済せずに維持しつづける忍耐も必要です。
トレンドフォローは、市場の方向性を見極め、それに従って取引を行うことで利益を狙う戦略です。効果的なテクニカル指標の使用と堅実なリスク管理が成功の鍵となります。


- ご注意ください。
-
当サイトの情報は各アナリストがテクニカル分析に基づき作成したもので、相場の動向を保証するものではありません。
売買に際しての最終判断はあくまでもご自身でご決定ください。 商品関連市場デリバティブ取引及び商品先物取引は元本や利益が保証されるものではなく、 価格の変動により場合によっては委託証拠金の額を上回る損失が生じることもあります。 為替、日経平均株価の分析は、商品市場分析の参考データとしてご提供しております。 当社では、外国為替証拠金取引及び日経平均指数先物取引の取り扱いはしておりません。
なお、予告なしに内容が変更又は、廃止される場合がありますのであらかじめご了承ください。
お取引の際は事前に 重要開示事項 等を十分ご理解のうえ、ご自身の判断で行なって頂けますようお願い申し上げます。