負け組にならないために「勝ち有利のゲームに参加したはずが…」(第3回)
最終更新日: 2024-10-04
ページ制作日: 2024-05-04
コインゲーム
個人投資家はどうして負け組みに入ることが多いのでしょう。ここでその原理原則の解説を試みたいと思います(必ず負ける仕組みが分かれば、それさえしなければ必ず負けない側に回ることができるという理屈になりますね)。
ここで、簡単なゲームを行ってみましょう。皆さんも、コイン1枚、紙と鉛筆を準備して、試してみてください。
ゲームはごく単純なゲームです。投げたコインの表裏を当てるゲームです。しかしここに一定のルールを加えます。まずオモテに賭けた場合。
予想通りオモテが出たら賭け金の2倍の金額が配当されます。予想が外れ、ウラが出てしまったら賭け金を失います。次にウラにかけた場合。予想通りウラが出た場合は掛け金と同額の配当を受けます。予想が外れ、オモテが出てしまった場合には掛け金の2倍の金額を失います。
こうしたルールの下、あなたなら表裏どちらにかけますか。表と裏が出る確率は2分の1です。
あたり | ハズレ | |
---|---|---|
表 | 2倍を得る | 同額を失う |
裏 | 同額を得る | 2倍を失う |
ゲームの概要
裏に賭ける場合
掛け金の金額
オモテとウラ、出る確率が同じなら、このルールからすれば当然オモテに賭ける方が有利であることはお分かりでしょう。 手持ち資金を1,000,000円とします。確率2分の1でオモテが出るわけですから、毎回10,000円ずつオモテにかけていれば、手持ち資金は増えていくことが容易に想像できます。 しかしこの時、手持ち資金全額を常にオモテに賭けているとウラが出た時点で破産という結果に陥ってしまうことは皆さんお分かりですよね。 ここで重要なのはリスクマネジメント(資金管理)という概念です。
ではここで賭け金に一定のルールを加え、それに応じた資金の増減を比較してみましょう。 ここでは定率投資という手段を選択します。つまり、常に手持ち資金の一定金額を賭けるということです。 1,000,000円の資金でスタートしますから、常に資金の10%をかける場合、最初は100,000円かけることになります。オモテに賭けて最初にオモテが出た場合資産は1,200,000円に増加します。 次の掛け金は資産の10%ですから120,000円。2回目にウラが出てしまうと120,000円を失い資産は1,080,000円になります。次の掛け金は108,000円。オモテが出ると資産は1,296,000円となります。
コインゲームのシミュレーション①
このようにして常に資産の10%かけたケース、20%を賭け続けたケースというように、5%から5%刻みで95%まで、オモテ、ウラそれぞれにかけた場合の資金の出入りを見てみましょう。
投げたコインは、オモテ、ウラ出る確率は2分の1ですから順番に1回ずつ出たものとします。コインは20回投げてみました。
オモテ、ウラどちらにかけたケースが資金を増やすことができるかということについては容易に想像できるでしょう。
当然のことながらオモテにかけた方が資金を増やすことができます。
問題はここから先で、ここがこのゲームの重要な部分です。つまり資金の5%ずつかけるのが有利なのか、80%ずつかけるのが有利なのか。 それをグラフ化したのが下記の図です。このグラフはコインを20回投げ終わった後の最終資産を表していますが、一番多く資産を残したのが資金の25%を賭け続けた人となっています。 面白いのは資産の50%を賭けた人は開始当初と同じ資産しか残っておりません。そして50%以上を賭け続けた人たちは元本割れとなってしまっています。 75%以上の人についてはほぼゼロ、破産という結果となっています。 どうです?何だか不思議ですね。 「必ず儲かる」賭けを行っているのに、儲からなかったり損が出たり。狐につままれたような気分になりませんか。
【オモテに20回賭けたケースのお金の増減】
一度に資金の75%を賭け続けた場合、勝てば2倍、負けても等倍の有利な勝負でも、10回目の段階で資金は10分の1以下なる。
コインゲームのシミュレーション②
下記の青色のグラフは、ウラにかけたときの最終資産を表しています。もちろんすべてのケースが元本割れとなったわけです。 しかし、資産の5%を賭け続けた人は元本割れですが資産はまだ残っています。資産の30%を賭け続けた人で破産状態、それ以上賭け続けた人は当初の資金を上回るマイナスになってしまいました。
【ウラに20回賭けたケースのお金の増減】
リスクマネジメント(資金管理)
さて、このゲームの結果から何が読み取れるでしょう。オモテに賭けた人が勝ち、ウラに賭けた人が負ける、これは誰もが想像できた通りです。
しかし、オモテに賭けた人の中にも負け組みがいるということに注意してください。
相場に例えるなら、トレンドの読みが当たっている、つまり買い相場を買いで入っているのに、破産している人がいるということです。
逆に、この買い相場を売りで入っている人は儲かるはずはありませんが、破産には追い込まれず資産を残している人もいます。
この人たちは、この相場は間違ったけれども資金が残っているのだから次のチャンスがあります。次の相場で当たればいいわけです。
しかし相場が当たっていたのに破産に追い込まれてしまった人たちに次はありません。このあたりに非常に大きなヒントがあるのではないでしょうか。
なぜ大衆は負けるのか。負ける人たちの負ける理由はまさにここにあるといってよいでしょう。
予想が当たっていたにもかかわらず、大損してしまうケースは意外と多いです。
第4回 相場の方向性を当てる事とリスク管理どちらが重要?
第2回 自己規律を身につけよう「タートル(リチャード・デニス)の教訓」
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