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自己規律を身につけよう「タートル(リチャード・デニス)の教訓」 (第2回) class=自己規律を身につけよう「タートル(リチャード・デニス)の教訓」(第2回)

最終更新日: 2024-10-04

ページ制作日: 2024-05-03


伝説のトレーダー

皆さん、ジョージ・ソロスという人物はご存じでしょうか。そう、あの有名な投資家、ジョージ・ソロスです。ウォーレン・バフェット、ジム・ロジャーズとともに世界三大投資家としてもよく知られています。 では、リチャード・デニスは? あまり知られていませんね。ジョージ・ソロスは世界的に有名なヘッジファンド・マネジャーですが、リチャード・デニスはこのジョージ・ソロスに匹敵するほどの、世界的に有名な、そして優秀なトレーダーです。 先物の世界では伝説的なトレーダーとして賞賛されている人物です。

伝説のトレーダー

彼が「伝説のトレーダー」と言われる所以は、決して彼の運用利回りが高いということだけではありません。 例えば、短期間に200%を超えるような高い利回りをはじき出し、一躍マーケットで有名になる投資顧問やファンドはたくさん存在します。しかし、このようなタイプの人たちは時間の経過とともにマーケットから消えてゆくのが常です。

これまで、マーケットにはいったい何人の「スター」トレーダーが登場し、そして消えていったことでしょう。これにはちゃんとした理由があります。つまり、このような人たちは高いリターンを出すためにそれだけリスクを冒しているわけです。 しかしそれがたまたまその時うまくいったというだけであり、そうそうこのような幸運は続きません。時間が経つにつれ、彼らは表舞台からひとり、またひとりと姿を消して行くのです。


リチャード・デニスとは

リスク管理が投資活動を行う上でいかに重要かということは後で詳しく触れますが、大きなリスクを取るトレーダーというのは、統計的にみても消えていく運命にあります。大きなリターンは、実は非常に危うい薄氷のバランスの上に成り立っているのです。

では、リスクをとらずにコツコツと市場平均以下の成績を積み重ねていくトレーダーが優秀なトレーダーなのでしょうか。 それは銀行に全ての運用資金を預けおいて、「私は絶対に損失を出さない優秀なトレーダーです。今年の運用成績は定期預金金利と同じ年間0.2%です」と言っているトレーダーを賞賛するようなものです。 「運用」という世界では、リスクに向き合うことを避けることは絶対にできません。リチャード・デニスのすごいところは、リスクと正面から向き合い、そのリスクを抑えながら大きなリターンを上げ続け、そして何よりも、その手法を後世の人に伝えていったというところにあります。 尊敬するトレーダーを取りあげてみなさいと言われれば、迷わずに彼の名前を挙げるでしょう。

自身が勝つだけでなく、その手法を他者に継承した点で画期的なトレーダーでした。


トレーダー養成クラス、「タートル」の成功

彼を尊敬する最大の理由、それは彼が「タートル」というトレーディングクラスを設け、それを成功させたことです。これはトレーダーを育成するクラスです。 世界に優秀なトレーダーは数多く存在しますが、自身が優秀なトレーダーでありながら、更に後世に続く優秀なトレーダーを育てたという人は聞いたことがありません。マネーゲームの世界でも、名プレーヤーは決して名コーチにはなれないのでしょうか。 残念ながら、優秀なトレーダーになればなるほど、自分の行っている論理を解析して、それを人に伝えるということができないでいます。 しかしそれを唯一行ったのがリチャード・デニスなのです。そして何より驚くべきことは、このクラスの卒業生の多くが世界のトップトレーダーとして現在も第一線で活躍していることです。

「タートル」

少しこのタートルというクラスについて紹介してみましょう。このタートルは、実は彼のパートナーであったウィリアム・エックハートとの「賭け」から始まったといわれています。話はこうです。

「シンガポールの亀(タートル) の養殖と同じ方法でトレーダーを育成できるかどうか?」とリチャード・デニスは同僚のウィリアム・エックハートにそう語った。エックハートは、デニスが天才だから相場に勝つことができる。 つまり、相場で勝つためには才能が大事だと考えていたわけです。一方のデニスは、技術論をしっかり確立すれば誰でも相場に勝つことが出来る。つまり、環境で人はどうにでもなると考えていたわけです。

この議論はいつまでたっても平行線です。そこでこの議論に決着をつけるために「人を募集して訓練してみよう」となったのです。これがタートルの始まりです。 彼らは、トレーダーを育成することは可能か否かという賭けをするため、主要新聞に全面広告を打って大々的な募集をおこないました。募集には何千名もの応募があったそうです。 その中からいくつかの条件にそって書類選考、そして面接。最終的にはある質問に対する回答で最終メンバーを決定したそうです。 彼はこの質問でトレーダーとしての素質を判断するわけですが、非常に興味ある質問を行っています。次のような質問です。

「あなたがこれまで生きてきて最も危機的な状況とは何でしたか。そしてその時にあなたはどのように考え、どのように行動しましたか」

トレーダーへの質問

ピンチの時こそ、その人の本質が現れるものです。


リチャード・デニスの意図

彼はこの質問で何を判断しようとしたのでしょうか。

まずひとつは、この人物はパニックにならない性格であるかどうか。何か突発的なことが起こったときに人間というのは誰しもちょっとしたパニックに陥るものです。 だけどその時にすぐに自分を取り戻せるかどうか、これを知りたかったわけです。その背景にあるのは、そういう状況になったときに自分を保てるという人は自分に厳しい人と判断したのです。 自分を冷静に見ている人。客観的に自分を見ることができるからすぐに冷静さを取り戻せるわけです。客観的に自分を見ることができない人はパニックから回復することが難しい。

相場の世界では「自己規律」と言いますが、自分を利する力、この資質を持っているかいないかで成功する確率は大きく変わるといわれています。デニスもまさにそう考えていたのです。 あなたはどうですか? もし、これまで相場に負けている方は振り返ってみてください。あなたのトレーディングに自己規律はありましたか? こうだと思った事の考えを途中で変更したりしていませんでしたか?
自己規律


リチャード・デニスは言います。「いくら知識を持っていても自己規律のない人はそれを正しく実行できない」。最初のタートルのクラスはわずか2週間で行われました。 このわずか2週間の講義で、優秀なトレーダーを育てることができたのは、この自分に厳しい人を選択したことが大きく寄与しているといってよいでしょう。トレーダーにとって自己規律とは非常に重要な要素なのです。

さて、こうして選ばれた生徒たちですが、わずか2週間の研修プログラムを終えると、それぞれ100万ドルの口座を任され、市場に参戦しました。 そして、ほとんどのメンバーが未経験だったにもかかわらず、次々と巨額の利益をあげ、業界に旋風を巻き起こした。相場は正しい訓練により成功できることが証明されました。

タートルの生徒達の成功

実験内容
  • 参加者の選定
  • デニスとエックハートは新聞広告を通じて応募者を募集し、多様なバックグラウンドを持つ20人強の参加者を選びました。選考基準にはトレーディング経験や金融知識はほとんど関係なく、主に知的能力と心理的な特性が重視されました。

  • 訓練
  • 選ばれた参加者は数週間にわたってトレーディングの基本原則や戦略について集中的に訓練されました。具体的には、トレンドフォローの戦略やリスク管理の技術が教えられました。

  • 実践
  • 訓練終了後、各参加者にはデニスから資金が提供され、その資金を使って実際にトレーディングを行いました。参加者は、デニスの指導のもとで教えられた戦略を実際に市場で試しました。

なぜ自分に厳しい人たちを選んだのでしょうか?また、なぜ勝つことができたのでしょうか?


あなたもジョージ・ソロスになれる?

本稿では、これから相場に真剣に取り組みたい方のために、どのように学習していけば、テクニカル分析手法に基づき、相場から利益を得る方法を最短距離で習得できるのかを解説していきます。 これまで各種のテクニカル分析や、売買技術を勉強するための本は沢山出版されてきましたが、「どのように相場を学習すべきか」という、プロセスについて書かれた本は、残念ながら見ることができませんでした。 アマチュア投資家の方々がなかなか自立できないのは、技術がないからではなく、実は体系化された学習方法を知らないからだと私は考えています。

リチャード・デニスは訓練によって優秀なトレーダーを育て上げることができると実証したわけですが、では誰でもがリチャード・デニスやジョージ・ソロスのようなプレーヤーになることができるのでしょうか。 これはなかなか難しいことです。言ってみれば、オリンピック選手に選抜され、しかも金メダルを獲得するようなものです。これには大変な努力と素質が要求されることはお分かりになるでしょう。 このレベルを目指すのはあまりにも無謀です。相場の世界で個人投資家が目指すべきはオリンピックのメダリストではなく、アマチュアの大会で上位入賞できる程度のレベルだと思います。そのために重要な第一歩は、「負けない」組みに入ることだと考えます。


負けない投資家を目指す

相場の世界では、投資家を「負ける人」、「負けない人」、そして「勝つ人」に分類することができます。勝つか負けるかではなく、まずは負けるか負けないかが最初の分かれ道であり、負けない人の中でテクニックを身につけた人が勝ち組みに回るわけです。 ですからまずは負けない組みに入ることを目指すべきです。どうして一般投資家がなかなか相場に勝てないかというと、必ず負け組みに入ってしまう売買の仕方をしているからです。本稿では、まず負けない側に入るというところからはじめてみましょう。

負けない人を目指そう

相場で負ける人は、負けるべくして負けているケースが多い。負けるに理由があります。



第3回 負け組にならないために「勝ち有利のゲームに参加したはずが…」 第3回 負け組にならないために「勝ち有利のゲームに参加したはずが…」

第1回 連載開始にあたって 自分の相場をみつけよう 第1回 連載開始にあたって 自分の相場をみつけよう



執筆者の写真

監修:安村 武彦

国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト(CFTe)・AFP(日本FP協会認定)
大阪府出身。1987年に商品先物業界に入社。2005年末に業界を離れ、2006年より専業トレーダーとして商品・株式・FXの売買で生計をたてる。個人投資家が相場で勝つためには、投資家目線のアドバイスが必要不可欠と感じ業界へ復帰。真のアドバイザーを目指し現在に至る。個人投資家向けに開催する一目均衡表のセミナーは非常に分かりやすいと好評を得ている。

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