売買手法に特化した情報コンテンツ

テクニカル分析に特化した相場情報サイト「マーケットEYE」

0120-520-307

受付時間/平日9:00~17:00

お問合せフォーム

エントリーよりも重要な「出口」の話 (第15回)エントリーよりも重要な「出口」の話 (第15回)

最終更新日: 2025-05-22

ページ制作日: 2025-05-23


入口は一つ、出口は二つ

これから、売買における「入口」と「出口」についてお話しします。
相場の世界では、入口は一つ、出口は必ず二つ存在します。一つの入口に対して、二つの出口。さて、この二つとは何でしょうか?

まず、一つ目の出口は「利食い(りぐい)」、つまり利益を確定するための出口です。 そして、もう一つは「損切り(そんぎり)」、損失を確定するための出口です。できれば避けたい出口ですが、実はこの損切りこそ非常に重要な役割を持っています。 できるだけ早い段階、初心者のうちに数多く経験しておくべきだと私は考えています。

売買における「入口」・「出口」

「エントリー&エグジット」を日本語に訳すと、「入口と出口」という意味になります。 エントリーとは市場に参入すること(=ポジションを持つこと、新規に買ったり売ったりすること)、 エグジットとは市場から退出すること(=ポジションを手放すこと、売ったり買い戻したりすること)を指します。

ここで振り返りますが、これまでに「リスクマネジメント」と「トレンドの定義」についてお話ししてきました。 それにもかかわらず、具体的な売買方法にはまだ触れてきませんでした。 なぜ売買手法の話をここまで引き延ばしたのか――賢明な皆さんなら、すでにお気づきかもしれません。
この順番には大きな意味があります。

リスクマネジメントとトレンドの定義

リスクマネジメントと優位な環境(トレンド)の認識が、どれほど大切かは、すでにご理解いただけたでしょう。 この二つは、相場に挑む者であれば誰でも必ず身につけなければならない「常識」なのです。 しかし、現実には、多くの投資家がこれらをおろそかにし、一番面白そうに見える「売買」だけにいきなり飛び込んでしまいます。 そして、多くの人があっけなく負けてしまうのです。

これまでにも説明した通り、たとえトレンドを正しく認識できていても、リスク管理ができなければ負けます。 まして、トレンドの認識もリスク管理もできていなければ、負けるのは当然の結果です。 さらに厄介なのは、もしこのような準備不足のまま、運よく勝ってしまった場合です。 それは、その人にとってむしろ最大の不幸の始まりかもしれません。

たとえば、何も知らないまま初めてトレードをして、偶然にも勝ってしまった場合(いわゆるビギナーズラック)。 このとき、人は「自分は相場が上手い」と勘違いし、自分の勘に過剰な自信を持つようになります。 そして次のトレードでは、初めの勝利で得た偶然の利益に味をしめ、さらに大きなポジション(取引量)を持とうとするでしょう。
ビギナーズラックは最大の不幸

しかし、偶然はいつまでも続きません。

相場が思惑とは逆方向に動いたとき、初心者は前回よりもはるかに大きな金額を抱えたまま、なすすべもなくオロオロするしかありません。 そして最後には、最初の勝利で得た利益も、それ以外の資金も、すべて失ってしまうことになるでしょう。



相場の常識

皆さんは、売買を始める前に必ず「リスクマネジメント」と「優位な環境(トレンド)の認識」をマスターしてください。 これが、相場の世界における基本的な「常識」です。

これからお話しする内容は、皆さんがこの二つをすでに身につけていることを前提に進めます。

さて、「入口は一つ、出口は二つ」とは、実際のトレードにおいて何を意味するのでしょうか? 冒頭でも触れた通り、入口とはポジションを作ること(取引を始めること)、出口とはポジションを解消すること(取引を終えること)を指します。 そして「二つの出口」とは、取引終了時に次のいずれかになる、ということです。


  • 利益が出ている場合(利食い)
  • 損失が出ている場合(損切り)

ここまでは、それほど難しい話ではありません。誰でも理解できるでしょう。 しかし、ここからが重要なポイントです。

出口が二つあることは、ポジションを持つ前から分かっています。 だからこそ、ポジションを持った時点、あるいは持とうと決めた段階で、「どこまで損が出たら損切るか」「どうなったら利食うか」をあらかじめ決めておく必要があるのです。 ここで注意してほしいのは、私が「どこで損切るか、どうなったら利食うか」と表現している点です。 「どこで利食うか」と言っていないのには理由があります。

実際に相場を経験すれば分かりますが、トレンドフォロー型の取引では、事前に利食いポイントを決めるのはあまり得策ではありません。 なぜなら、相場がどこまで動くかは市場が決めることであり、自分の思い通りに動いてくれるわけではないからです。 つまり、相場は私たちがコントロールできるものではないのです。

では、相場の中で唯一自分がコントロールできるものは何でしょうか?
それが、先ほど触れた「どこで損切るか」というポイントです。

ポジションを持つ(エントリーする)ことは誰にでもできますが、どこで退出するか(エグジットするか)によって、結果が利益になるか損失になるかが決まるのです。

そして、「損切りのルールを決めること」こそ、自分の意志でコントロールできる唯一の領域です。 だからこそ、損切りラインは必ず事前に設定しておくべきなのです。

しかし残念ながら、ほとんどの人は「とりあえずエントリーして、状況を見ながら出口を考えよう」としてしまいます。 けれど、人間の心は基本的に弱く、すぐに迷ったり、動揺したりするものです。 ニュースを見ては気持ちが揺れ、噂話を聞いてはまた心が揺れる。 そのうち、自分がなぜ最初に買おう(売ろう)と思ったのか、その理由すら忘れてしまうこともあります。

もし儲かっているときなら、まだ何とかなるかもしれません。しかし、損をしているときにこのような状態に陥ったら、目も当てられません。 相場のセオリー(基本原則)から見れば、本来持ち続けるべき場面で慌てて売ってしまったり、本来もっと利益を伸ばすべき場面で早々に利食ってしまったり、といった失敗を繰り返すことになります。 これでは良い結果は望めないのは当然です。

エントリーする前に出口を決める

こうした事態を避けるためにも、相場に入る前に「どうなったら相場から退出するか」をあらかじめ決めておくことがトレードをする上で最も大切なことの一つです。




第16回に続く 第16回に続く(coming soon)

第14回 メジャートレンドとカウンタートレンド 第14回 メジャートレンドとカウンタートレンド


tradingview社のチャートを利用しています。



執筆者の写真

監修:安村 武彦

国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト(CFTe)・AFP(日本FP協会認定)
大阪府出身。1987年に商品先物業界に入社。2005年末に業界を離れ、2006年より専業トレーダーとして商品・株式・FXの売買で生計をたてる。個人投資家が相場で勝つためには、投資家目線のアドバイスが必要不可欠と感じ業界へ復帰。真のアドバイザーを目指し現在に至る。個人投資家向けに開催する一目均衡表のセミナーは非常に分かりやすいと好評を得ている。

ご注意ください。
当サイトの情報は各アナリストがテクニカル分析に基づき作成したもので、相場の動向を保証するものではありません。
売買に際しての最終判断はあくまでもご自身でご決定ください。 商品関連市場デリバティブ取引及び商品先物取引は元本や利益が保証されるものではなく、 価格の変動により場合によっては委託証拠金の額を上回る損失が生じることもあります。 為替、日経平均株価の分析は、商品市場分析の参考データとしてご提供しております。 当社では、外国為替証拠金取引及び日経平均指数先物取引の取り扱いはしておりません。
なお、予告なしに内容が変更又は、廃止される場合がありますのであらかじめご了承ください。
お取引の際は事前に 重要開示事項 等を十分ご理解のうえ、ご自身の判断で行なって頂けますようお願い申し上げます。