HLバンドとは (第13回)
最終更新日: 2025-04-25
ページ制作日: 2025-04-25
HLバンドについて
ここまでは、トレンドの認識を「ダウ理論」に基づいて行うという基本的な考え方に沿って、スイングの高値・安値(HL)や関連する指標をご紹介してきました。
しかし、何度もお伝えしているように、トレンドを定義する方法は一つではありません。
そこで最後に、もう一つ有効なトレンド認識の手法をご紹介します。
かつて、世界で最初にシステム売買を実践し、先物ファンドの草分け的存在となったリチャード・ドンチャンという人物がいました。
彼が好んで使用した手法に「4週ルール」があります。これは、20日間の高値・安値(HL)をもとにトレンドを判断するもので、
当社のチャートシステムでは「プライスチャネル」、TradeingViewでは、DC(ドンチャンチャネル)として表示されます。
この手法は、以前第2回でご紹介したリチャード・デニスが「タートルズ(タートル・システム)」に教えたルールとも一致しており、
その有効性は広く知られています。したがって、私から改めてその価値を強調する必要はないでしょう。

HLバンドは、市場のボラティリティを捉えるのに非常に有効な指標です。
市場で売買を行う者にとっては、価格の動きだけでなく、その変動幅、つまりボラティリティにも常に注目する必要があります。
このバンドの優れている点は、単純に過去の高値・安値を数えて記録するだけで、市場のボラティリティを自動的に反映できるという点です。
ボラティリティを測る手法には、標準偏差を用いたもの、トゥルーレンジを利用するもの、あるいは変動率やリスクに基づく複雑なものまで、さまざまな方法があります。しかし、それらは計算が煩雑で、一般の方が日常的に手計算で使うには現実的ではありません。
その点、HLバンドは非常にシンプルでありながら、市場の変動の特徴を的確に捉えることができます。
実際、市場の変動が大きくなるとバンドの幅は広がり、逆に変動が小さくなるとバンド幅は狭まるなど、ボラティリティの変化を視覚的にわかりやすく表現できるのが特長です。
このように、HLバンドは簡単でありながら実用性の高い指標として、非常に優秀だといえるでしょう。
HLバンドの引き方

- 青い上の線が「ハイバンド(HighBand)」 → 過去20日間の中で一番高かった価格をつないだ線
- 青い下の線が「ローバンド(LowBand)」 → 過去20日間の中で一番安かった価格をつないだ線
- オレンジの線はミッドライン(中心線) → ハイバンドとローバンドの中間(参考として表示)
【HLバンドの描き方(図①)】
- 基準日を決めます(どこでもOK)。
- 基準日を含めた過去20日間の高値・安値を見つけます。
- 見つけた高値と安値をそのまま基準日の位置に描きます。
- 翌日を新たな基準日として、同じ手順をくり返します。
- それぞれの高値・安値を線でつないでバンドを完成させます。

HLバンドは、通常のチャート表示では現在のローソク足と同じ位置にバンドを描くことが多いですが、
売買判断に使う場合は、バンド全体を1日右にずらして描くことがあります。
バンドを1日右にずらすことで、ローソク足がハイバンド(上限)やローバンド(下限)をブレイクした瞬間が明確になります。
このバンドを上に抜けた(上抜け)・下に抜けた(下抜け)タイミングが、売買のシグナルとして使われます。
- 上抜け ➝ 買いシグナル
- 下抜け ➝ 売りシグナル
このように、1日ずらすことでシグナルの発生ポイントが明確になり、ルールに基づいたトレード判断がしやすくなります。

このHLバンドをトレンド認識の指標として活用する場合、相場がハイバンド(上限)を上抜けたときは「アップトレンド」、
ローバンド(下限)を下抜けたときは「ダウントレンド」と判断します。
ここまでご覧いただいたように、ダウ理論とHLバンドは、考え方や理論的背景こそ異なりますが、いずれもトレンドを認識する上で非常に有効な手法であることが分かります。
相場では、値動きのないところからは利益を得ることはできません。
だからこそ、「いま相場に十分な値幅=チャンスがあるのか?」を的確に判断できる指標を持つことが、トレードの第一歩となります。


※tradingview社のチャートを利用しています。
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