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助かるのか、助からないか (第9回)トレンドとは「助かるのか、助からないか」 (第9回)

最終更新日: 2024-11-27

ページ制作日: 2024-11-27


トレンドとは簡単に言うと?

ダウ理論に触れる前に、まず『トレンドとは何か』について再確認してみましょう。支持線や移動平均線を引くことができたとしても、それだけではトレンドを表面的に理解しているにすぎません。トレンドが本質的に何を示しているのか、その意味を深く理解する必要があります。 「トレンドとは何か」。この問いの答えは非常にシンプルです。それは『助かるか、助からないか』に尽きるのです。


図1
ダウントレンド

図1において、1や3の部分で売った場合について見てみましょう。この売り手は、2や4の局面で一時的に利益が発生することがありますが、その後の5の上昇により損失が生じることになります。したがって、この売り手は「助かっていない」と言えます。

ダウントレンド

一方、同じ1や3の部分で買った場合を考えてみましょう。2や4の下落局面で一時的に含み損を抱えることがあるかもしれませんが、その後の5の上昇によって、最終的に利益を得ることができます。このように、買い手は「助かっている」と言えるのです。


ダウントレンド

つまり、「買っている人が助かり続け、売っている人が損失を抱え続ける状態がアップトレンドであり、逆に、売っている人が助かり続け、買っている人が損失を抱え続ける状態がダウントレンドである」と考えれば、トレンドの本質は意外とシンプルで理解しやすくなるでしょう。


ダウントレンド

買いが助かり続けるのがアップトレンド、売りが助かり続けるのがダウントレンドです。


ダウ理論

相場は、お金を兵隊として戦う現代の戦争のようなものです。チャートの縦軸は損益に直結しており、現在価格と過去の値動きを見ることで、どちらが有利かが一目で分かります。
これでトレンドの本質を理解していただけたと思います。その上で、値動きをさらに単純化し、どのように定義していくかという点で、ダウ理論が活躍します。

ダウ理論

ダウ理論によるトレンドの定義は次のように表現されています。「連続する高値・安値の各々が、その前の高値・安値より上である限り、アップトレンドが存在する。 一方、連続する高値・安値の各々が、その前の高値・安値より下である限り、ダウントレンドが存在する」(『先物市場のテクニカル分析』より)。


図2
ダウントレンド

図2のA部分をご覧ください。高値が連続して前回の高値を上回り、安値も前回の安値を上回っています。このような状況が確認できた時点で、「アップトレンドである」と判断できます。

しかし、Aの枠から外れた最初の安値(②)がその前の安値(①)を下回った場合、この時点でアップトレンドが終了した可能性があると仮定できます。その後、次の高値が前回の高値を下回った場合、アップトレンドの終了が確定することになります。

高値と安値が連続して切り上がるのがアップトレンド



図3
ダウントレンド

図3も同様に、アップトレンドが確認されています。しかし、④番目の高値が③番目の高値を下回った時点で、アップトレンドが終了した可能性があると仮定できます。
その後、前回の安値を下回った場合、この時点でアップトレンドの終了が確定することになります。


図4(高値が切り上がった後に安値が切り上がるケース)
ダウントレンド

図5(安値が切り上がった後に高値が切り上がるケース)
ダウントレンド

高値と安値が連続して切り下がるのがダウントレンド

図4および図5はダウントレンドのパターンを示しています。これらのパターンには多少の違いが見られますが、 いずれの場合でも仮の判断ができた時点で迅速に売買の判断を下さないと、出遅れる可能性があります。

ただし、こうした早期の判断には「だまし」に遭遇するケースも多くなります。 そのため、リスク管理を徹底し、「だまし」による損失を最小限にするのがトレンドフォローイングの重要なテクニックとなります。
また、トレンドの転換をしっかりと確認してから売買するという方法もあります。これは各自の売買計画やリスク許容度に応じて適切に判断するとよいでしょう。


上昇トレンドの具体例


図6(金標準先物1時間足)
ダウントレンド

図6は、金標準先物の1時間足での上昇トレンドを示しています。

  • 高値の切り上げ
  • 高値①、②、③、④…と連続して高値が切り上がっており、上昇トレンドが継続していることを示しています。

  • 安値の切り上げ
  • 安値①、②、③、④…と安値も連続して切り上がっています。これにより、上昇の勢いが確認できます。
上昇トレンドの特徴
上昇と下落を繰り返しながら、高値と安値の水準を徐々に引き上げていく動きは、典型的な上昇トレンドの形状です。

このような動きが確認できる場合、トレンドフォロー型の投資家は以下の戦略を採用することが一般的です。

  • 安値からの反発を狙ったエントリー
  • 高値更新を待って利益を伸ばす

トレンド終了の可能性

上昇トレンドが終了する可能性があるのは、以下の条件が満たされた場合です。

  • 新しい安値が前回の安値を下回る
  • 高値が前回の高値を超えない

注意ポイント

上昇トレンド中に特に注視すべきは、「現在の高値の起点となった安値」です。この図では、「安値⑤」がそのポイントに該当します。
もし安値⑤の価格を下回る場合、高値と安値の連続的な切り上げパターンが崩れるため、トレンドの転換や調整が起こる可能性が高まります。このような場面ではリスク管理を徹底する必要があります。


トレンドフォローがなぜ有効か?

ここで注意していただきたいのは、今のトレンドの認識は、今現在の状況を定義しているに過ぎないという事です。 例えばこれまでアップトレンドにあったけど、昨日と今日でその序列が崩れダウントレンドに転換したと判断できることもありますが、明日どうなるかは誰にもわかりません。

誰にもわかりませんが、トレンドフォロワーが利益を上げているという理由は、実は相場というものは「上げている相場は同じパターンを繰り返しながら上げを継続する」「下げている相場は同じパターンを繰り返しながら下げを継続する」という性質をもつという点に着目しているからです。 ですから一旦上げ始めたものはその後も上げ続ける確率が高い、一旦下げ始めたものはその後も下げ続ける確率が高いという相場の性質に着目しています。 常にそうなるというわけではありませんが、そうなる確率が高いということを信じてトレンドフォロワーは売買しています。そして重要なのは、間違った場合にはリスク管理によって損失を最小限にとどめているという点にあります。

再度確認しますが、トレンドフォローイングのコンセプトというのは、「相場の継続性」をとらえ、それに乗っかって大きい相場が出るのを待つ、そして大きい相場が出現したらそこから大きな利益を取るということです。 ですからトレンドフォロワーは、値ごろ感や感情に踊らされて軽はずみに利食いをしてはいけない訳です。

ダウ理論が言う連続する高値と安値は、図が指す通りです。「当たり前じゃないか」という声が聞こえてきそうですが、これから先、実際にポジションを持って売買をする時には、理論的に定義できなければ駄目です。 売買の拠り所となる理論をハッキリと定義付けしてください。“なんとなく・あいまい”を排除しなくてはいけません。
感性に従って売買をしていたならば、もしかするともっと儲ける事が出来るかもしれません。しかし、その感性はいつも上手くいくでしょうか。(しかも、そのような感性を持つ人はほんの一握りでしょう)。 答えは否。例え、理論的に定義しようとして曖昧さを排除したために効率が悪くなってしまったとしても、曖昧さを排除する事はリスクをコントロールしやすくします。 負けない事を優先させなければならない事を考えると、理論的に定義する事は重要な意味を持つことを軽視してはいけないと思います。



第10回に続く 第10回に続く(coming soon)

第9回 トレンドの定義の仕方 第9回 トレンドの定義の仕方


tradingview社のチャートを利用しています。



執筆者の写真

監修:安村 武彦

国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト(CFTe)・AFP(日本FP協会認定)
大阪府出身。1987年に商品先物業界に入社。2005年末に業界を離れ、2006年より専業トレーダーとして商品・株式・FXの売買で生計をたてる。個人投資家が相場で勝つためには、投資家目線のアドバイスが必要不可欠と感じ業界へ復帰。真のアドバイザーを目指し現在に至る。個人投資家向けに開催する一目均衡表のセミナーは非常に分かりやすいと好評を得ている。

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