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今日の相場解説【金価格はどこまで上がる?歴史を振り返り今後を予測! 】今日の相場解説 (2024.10.30)デイリーマーケットレビュー


最終更新日: 2024-10-30

ページ制作日: 2024-10-30

今日の相場解説

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またまた最高値を更新

本日もGOLDが再び史上最高値を更新し、関連するお問い合わせが昨日から増加しています。執筆時点で、JPX金標準2025年10月限の価格は13,780円まで上昇しています。 また、田中貴金属の金小売価格(税込)は1gあたり15,104円となり、ついに1キロが「1,500万円」の時代に突入しました。あの小さな金の塊が、今や1,500万円の価値を持つ時代です。
買取価格も14,967円となっており、本日、田中貴金属に1キロバーを売却すると1,496万7,000円で買い取ってもらえることになります。


金イメージ

9月12日から9月27日までの10日連続の上昇(10連騰)に続き、10月10日から10月23日までの9連騰と、買いポジションを保有する方々にとっては絶好の展開が続いています。 一方で、売りポジションで臨んでいる方にとっては厳しい局面となり、ここにきてご相談やお問い合わせも増加しています。これらの相談の多くは、売りで勝負している方々からのものです。

9月12日からの連騰開始日を起点とし、本日の終値13,780円(前日比196円高)までの上昇幅を計算すると、合計で2,272円の上昇となります。今年の大発会時の始値9,421円から計算すると、30日終値13,780円で「4,359円」の上昇、今年の安値9,354円からで計算すれば4,426円の上昇となり、皆さんご存知の通り、今年の年間変動幅は大幅に更新されています。


金標準先物(年足)
金標準先物年足チャート

上記は金標準先物の年足チャートです。一本のロウソク足が1年間の値動きを表しています。
このチャートを見ると、今年の上昇幅がいかに驚異的であるかが一目瞭然です。
月足ベースのRSIは88.2ポイントに達しており、2023年3月以降、月足でのRSIが70ポイントを上回った状態を維持しており、一度も70ポイントを割り込んでいません。 RSIをはじめとするオシレーター系の指標がほぼ機能しない、いわば「モンスター相場」となっており、逆張り系の投資家にとっては非常に難しい状況が続いています。

2014年から2019年半ばまでは4,000円から5,000円の範囲で1,000円幅の値動きで推移し、今の激しい動きと比較するとほとんど変動がないように見える時期でした。 当時は金投資においても比較的のんびりした取引が可能でしたが、2019年8月に5,000円の壁を突破したことから状況は一変しました。その後、2020年3月に一時的な安値4,876円を記録して以来、5,000円を割ることはなくなりました。

ここで少し復習して、なぜこのような状況が起こったのかを考えてみましょう。


金標準先物チャート
金標準先物チャート

2018年頃からの金価格の上昇には、以下のような主要な要因がありました。

  • 米中貿易摩擦の激化
  • 2018年頃から米国が中国に追加関税を発動し、中国も対抗措置を取ったことで、米中の経済対立が激化しました。これにより経済の不透明感が高まり、安全資産としての金に対する需要が増加しました。

  • 新型コロナウイルスによる世界的な経済停滞
  • 2020年初頭、新型コロナウイルスが世界中で大流行し、移動や生産、物流が止まり、世界経済が急激に悪化しました。多くの国が経済支援策として大規模な金融緩和を行い、市場に多額の資金が供給されました。 この結果、通貨の価値が下がり、インフレ懸念が広がる中で金がインフレヘッジとして注目されました。

  • 中央銀行による金の大量購入
  • 特に中国の中央銀行(中国人民銀行)は、2023年までに224.9トンの金を純購入し、世界最大の買い手となりました。これは金の需要増加に大きく貢献し、価格を押し上げる要因となりました。 ※現在、中国は5か月連続で購入を見送っています。これは金価格の高騰が一因と考えられています。

  • ロシア・ウクライナ情勢とインフレ
  • 2022年、ロシアがウクライナに侵攻し、西側諸国がロシアに対する経済制裁を実施したため、食料やエネルギー価格が高騰し、世界的なインフレが発生しました。 物価上昇の影響が広がり、インフレヘッジとしての金の需要が強まりました。

  • 日本の金利政策と円安
  • 日本では景気低迷のため金利を引き上げられず、米国との金利差が拡大した結果、円安が進行しました。これにより、円建ての金価格も上昇し、日本国内での金需要がさらに高まる要因となりました。

ドル建ての金価格の上昇と円安の「W効果」によって、これまでにない規模の上昇が見られています。現在も経済や政治情勢の不安定さ、インフレ状況、NY金の価格上昇、そして円安が続いており、金価格の上昇要因はなお健在です。

このような状況が過去に類似した時期はあったのか?と考えると、1979年から1980年が該当します。1979年当時、国内の金価格(店頭小売価格)は1,445円から1,700円程度でしたが、翌1980年1月には史上最高値である6,495円まで急騰しました。
しかし、その後わずか4か月で3,645円まで56%も急落しました。当時を振り返ってみると、以下の出来事がありました

1979年(海外)
  • 2月にイラン革命が勃発
  • 中越戦争が発生
  • 12月にはソ連がアフガニスタンに侵攻し、米ソの緊張が急速に高まりました
1979年(国内)
  • 自民党が総選挙で過半数割れとなり、党内抗争が勃発
  • 第二次オイルショックの影響が波及
  • 干支においても1979年は「三碧木星の年」で、偶然にも2024年も同じ年回りとなります

現在の状況がどれほど続くかは不明ですが、過去の類似状況を振り返り、将来に備えるのも重要な視点です。

例えば、現在の高値13,759円から1979年のような56%の下落が起きた場合、価格は7,705円下がり、6,054円になる計算です。 現状では考えにくいかもしれませんが、相場では何が起きるか予測不可能なこともあります。今年、1キロの金価格が1,500万円を超えると予想していた人はどれほどいたでしょうか?

さらに詳しく知りたい方は、投資力向上コラム「金価格の歴史 1980年代と1990年代」をお読みください。


対数チャートで見る金価格


対数チャートは、価格の変動を「絶対値」ではなく「変化率」で視覚化する手法です。通常の線形チャート(算術チャート)では、同じ価格変動でも価格水準が上がるほど変動幅が大きく見えるため、長期の価格推移を視覚的に捉えづらい場合があります。 一方、対数チャートでは、縦軸が一定の倍率(例えば倍増や半減)ごとに区切られているため、価格が一定の割合で上昇または下降した場合、グラフが直線的に見えるのが特徴です。

対数チャート(ログスケール)とは 対数チャート(ログスケール)とは

例えば、金価格が1,000円から2,000円に上がる50%の上昇と、5,000円から10,000円に上がる50%の上昇は、対数チャート上では同じ「距離」として表現されます。これにより、長期的なトレンドや上昇率を直感的に把握しやすくなります。


金標準先物(年足)対数チャート
金標準先物年足対数チャート


この対数チャートで見ると、金価格の上昇率はある程度一定であることがわかります。対数チャートは、一定の割合で価格が上昇した場合、直線に近い形で表現されるため、金価格が長期的に安定した上昇傾向にあることが確認できます。 1998年以降、金価格はゆるやかに右肩上がりのチャネル内で推移してきましたが、直近の高騰によりチャネルの上限付近に達しています。特に2020年以降の上昇は著しく、過去の緩やかな上昇とは異なる動きを見せています。 このため、長期的には一定の上昇率を保っているものの、近年の急上昇は変化率の観点で見てもやや異例の動きといえるでしょう。


金価格のテクニカルプライス


金標準先物(日足)
金標準先物日足チャート

高値を更新し続けている金価格の上値目標となるテクニカルプライスを以下にまとめます。

フィボナッチの拡張ライン(7/17高値12679円~8/6安値10804円の下落幅1,875円に対して)

  • 1.618倍:13,838円
  • 1.764倍:14,112円
  • 2倍:14,554円

N計算値

  • 10,804円・12,603円・12,112円からのN計算値:13,911円
  • 8,661円・12,679円・10,804円からのN計算値:14,822円

目標価格を順に並べると以下の通りです。

  • 13,838円
  • 13,911円
  • 14,112円
  • 14,554円
  • 14,822円

30日の最高値は13,780円ですので、次の目標としてはフィボナッチ1.618倍にあたる「13,838円」が意識されていると考えられます。この価格を突破するかが今後の注目ポイントとなります。

現在の金価格の上昇は、新幹線に乗り続けて次々と駅を通過しているような状況です。鹿児島中央から出発し、博多・広島・新大阪・京都・名古屋・横浜・品川・東京を過ぎ、まだ先に進んでいるようなものです。 この上昇がどこで折り返すかはわかりませんが、上昇が続く間は、テクニカルプライスを一つひとつ通過するかが注目ポイントとなります。

一方で、下落が始まる場合には、まず前日安値を3日連続で割れるかどうか、さらに短期指標のサポートを割り込むかが重要なポイントとなります。

また、本日Yahoo!のトップニュースにも「金が1キロ1,500万円を超えた」と取り上げられていますが、現在の価格は大きく乖離している分、変動幅も非常に大きくなる可能性があることを理解し、慎重なポジション管理が必要です。


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また、記事の内容に関するご質問も随時受け付けております。お一人で悩まず、疑問を解消することで投資判断もスムーズになるかと思いますので、ぜひご利用ください。

10月31日・11月1日の「今日の相場解説」はお休みさせていただきます。




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tradingview社のチャートを利用しています。

執筆者の写真

監修:安村 武彦

国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト(CFTe)・AFP(日本FP協会認定)
大阪府出身。1987年に商品先物業界に入社。2005年末に業界を離れ、2006年より専業トレーダーとして商品・株式・FXの売買で生計をたてる。個人投資家が相場で勝つためには、投資家目線のアドバイスが必要不可欠と感じ業界へ復帰。真のアドバイザーを目指し現在に至る。個人投資家向けに開催する一目均衡表のセミナーは非常に分かりやすいと好評を得ている。

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