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対数チャート(ログスケール)とは対数チャート(ログスケール)とは

最終更新日: 2024-10-17

ページ制作日: 2024-03-18

ビットコインの価格変動

ビットコインの価値は、2024年3月現在で過去最高値を更新し、1ビットコインあたり72,000ドルに到達しました。これは日本円に換算すると約1,065万円に相当します。5年前の2019年3月末には、ビットコインの価格は4,000ドルでしたので、この期間に約18倍の価値上昇を遂げています。 このようにボラティリティ(価格変動の激しさ)が高く、また長期にわたる価格の変化率を視覚的に捉える際に有効なのが、対数チャート(ログスケール)です。対数チャートは価格のパーセンテージ変化を均等に表示することで、大幅な価格変動を持つ銘柄や、長期間にわたる価格の推移を分析するのに適しています。


ビットコイン月足

例えば、価格が4,000ドルの時に2,000ドルの上昇があれば、それは1.5倍の価格上昇、つまり「50%増」となります。しかし、現在価格が72,000ドルである場合、同じ2,000ドルの上昇があっても74,000ドルに達するだけで、これは「約3%」の上昇に過ぎません。 このように、同じ2,000ドルの価格変動であっても、基準となる価格によってその影響の度合いは大きく異なります。価格が2,000ドルの時点と72,000ドルの時点では、同じ金額の変動がもたらす相対的な価値の変化に、顕著な違いがあります。

価格帯による変動率

そのため、価格の変動率に注目し、価格の変化を視覚的に理解しやすくするためのチャートが対数チャートです。


対数チャート(ログスケール)

対数チャートの目盛りは、対数スケールを用いています。このスケールでは、チャートの縦軸(Y軸)の目盛りが等間隔で配置されているのではなく、数値の対数に基づいて配置されています。これは、数値の相対的な変化やパーセンテージの変化を表現するために使用されます。

対数チャートの目盛り

わかりやすく言うと通常のチャートでは、1円、2円、3円…と均等に増えていく目盛りがありますが、対数チャートでは「〇倍になる」ことを重視しています。だから、対数チャートでは、1円、10円、100円、1000円のように、目盛りが「10倍、100倍…」と大きくなっていくようになっています。
この方法を使うと、小さな数字の変化も、大きな数字の変化も、どちらも同じように「〇倍になる」ということが簡単に見えるようになります。たとえば、100円が200円になるのも、1万円が2万円になるのも、チャート上では同じくらいの変化として表示されます。これは、価格がどれだけ増えたか(〇倍になったか)を見る時に便利です。



通常のグラフと対数のグラフの比較

対数チャートを使用すると、目盛りの間隔が均等ではなくなります。これは、チャートが値の「倍率」の変化に注目しているためです。例えば、0.1万から1万への変化と、100万から1000万への変化は、どちらも10倍の増加を示しています。その結果、これら二つの区間は対数チャート上で同じ大きさの間隔として表示されます。
対数チャートは「何円上下したか」ではなく「何%上下したか」を基準に目盛りをとる
この特性のため、値の絶対的な変化量を比べる際には慎重になる必要があります。なぜなら、対数チャートは金額の「増え方」や「倍になる速さ」に焦点をあてているので、実際の金額の増加量が同じでも、その価値の増え方には大きな違いがあるからです。


対数チャートは変化率に焦点をあてる

値動きを変化率で見ることで、従来とは異なる角度から相場を分析することが可能になります。


なぜ、対数チャートを使うのか?

例えば、100円から毎日3%ずつ上昇して、最終的に1,000,000円まで上昇した価格の推移を通常のチャート(線形チャート)で表示した場合、次のような形になります。

通常のグラフ

最初はわずかな上昇に見えるものの、終盤になると急激に上昇が加速しているように見えます。 このような見た目の変化は、価格自体の絶対的な変化量が大きくなるためです。 実際、初日は100円→103円と3円の上昇に対して、最終日は952,600円→1,012,078円と29,478円の上昇となり、増加額は約100倍にもなります。しかし、両者は同じ「3%の上昇」にすぎません。

ここで、対数チャートを使う利点が出てきます。 対数チャートでは、同じ割合の変化がグラフ上で同じ幅で表現されるため、3%の変化が初日であっても最終日であっても、同じ幅として視覚的に表示されます。 これにより、価格の相対的な変動(増加率)を正確に評価することができます。


対数のグラフ

つまり、対数チャートを使用することで、長期間にわたるデータを見たときに、同じ割合の変動が等しく視覚的に表現され、価格の動きが誇張されることなく適切に評価できるのです。 特に、株価や商品価格など長期にわたって成長・変動する資産の分析では、対数チャートがより信頼性の高い視覚的なツールとなります。

これにより、100円の時の3%と1,000,000円の時の3%でも、同じ「3%」として認識しやすくなります。


ビットコインを対数チャートで見る

下記のチャートはビットコイン月足の「通常チャート」と「対数チャート」です。

ビットコイン月足チャート

通常のチャートでは、2018年以前の値動きはその値幅が小さすぎるため、価格の変化を正確に捉えることが難しいです。これは、特に大きな価格変動があった場合、それ以前の比較的小さな変動が視覚的に無視されやすいためです。しかし、対数チャートを使用すると、この問題を解決できます。


ビットコイン月足対数チャート


対数チャートでは、価格の変化率に基づいて価格動向を表示するため、相対的な変動がより明確になります。この特性により、対数チャートでは2012年から現在にかけてのビットコインの価格変動を、時間の経過と共に一貫して評価することが可能になります。

具体的に、ビットコインの通常の月足チャートを2012年から現在まで見た場合、通常チャートでは2018年以降の大きな価格のピークや谷が目立ちますが、それ以前の小さな変動はほとんどまたは全く見えなくなります。これに対して、対数チャートでは価格の相対的な上昇や下降が等比率で表現されるため、時間を通じて一貫した価格の変動の概観を得ることができます。

通常のチャートで見るとビットコインの上昇トレンドは加速しているように感じますが、対数チャートで見ると上昇トレンドが失速してきているように見えます。このように対数チャートは、長期間にわたる価格の動きを分析し、理解する際に特に有用です。ビットコインのように短期間で急激な価格変動がある資産においては、その価格変動の本質を把握するためには、対数チャートの使用が推奨されます。

対数チャートを使うことで、ビットコインのように急激な価格変動を持つ資産の長期的な動向を捉えることができます。


金価格を対数チャートで見る

下記のチャートは金標準先物(月足)の「通常チャート」と「対数チャート」です。 金標準先物月足チャート

金標準先物月足対数チャート

通常のチャートを見ると、2019年頃から金価格の上昇スピードが加速しているように見えます。この期間において、価格の絶対値で見ると、2000年初頭と比較して値動きの範囲は明らかに広がっています。しかし、この変動を変化率の観点から分析すると、金価格の上昇ペースは実はかなり一定していることが対数チャートから明らかになります。
この対比から、金価格が長期間にわたってどのように変化してきたかを理解することができます。特に対数チャートは、価格の相対的な変化や成長のペースを一貫して追跡するのに有効であることがわかります。つまり、金価格の上昇が時間の経過と共にどのように進展してきたかを、より詳細に分析することが可能になるのです。


対数チャートはトレードに利用できるのか?

対数チャートの有用性について詳しく解説してきましたが、実際のトレーディングにおいて利用するのはお勧めできません。対数チャートは、超長期にわたる価格の推移を理解するのに非常に役立ちますが、日常的な取引で見られる短期間の価格変動を捉えるには不向きです。実際のトレードでは、より短期間を対象とした時間足や日足チャートを用いて分析することが推奨されます。 それでも、全体的な市場の動向を把握し、「大局的な視点」を持つことは相場予測において非常に重要です。この観点から、対数チャートは相場の大きな流れやトレンドを理解するための有効なツールの一つとして価値があります。


対数チャートの使い方

Tradingview(トレーディングビュー)であれば対数チャートを簡単に見ることが可能です。


Tradingview(トレーディングビュー)の対数チャートの見方


  1. チャート画面右下にある歯車アイコンをクリック
  2. TradingViewのチャート画面右下にある歯車アイコンをクリックするか、もしくは右側の目盛りの部分にカーソルを合わせてマウスの右ボタンをクリックすることで、設定メニューを開くことができます。

  3. 設定メニューから「対数」を選択
  4. 設定メニュー内に「対数」というオプションがありますので、これを選択して左側の目盛りを対数スケールに変更してください。対数チャートから通常のチャートに切り替えたい場合は、同じメニュー内で「通常」を選択することで、元のチャート表示に戻すことができます。

Tradingview(トレーディングビュー)の使い方については下記のページをご覧ください。

TradingView(トレーディングビュー)の使い方 TradingView(トレーディングビュー)の使い方



tradingview社のチャートを利用しています。

執筆者の写真

監修:安村 武彦

国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト(CFTe)・AFP(日本FP協会認定)
大阪府出身。1987年に商品先物業界に入社。2005年末に業界を離れ、2006年より専業トレーダーとして商品・株式・FXの売買で生計をたてる。個人投資家が相場で勝つためには、投資家目線のアドバイスが必要不可欠と感じ業界へ復帰。真のアドバイザーを目指し現在に至る。個人投資家向けに開催する一目均衡表のセミナーは非常に分かりやすいと好評を得ている。

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