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「相対力指数(RSI)とボリジャーバンドを組み合わせた戦略相対力指数(RSI)とボリジャーバンドを組み合わせた戦略

一歩先をいく相対力指数(RSI)の使い方②

テクニカル分析の世界では、単一の指標だけを使用するよりも、複数の分析手法を組み合わせて使用することで、より信頼性の高いトレードシグナルを得ることができます。 このコラムでは、特に人気のあるテクニカル指標である相対力指数(RSI)とその他の分析手法を組み合わせた取引戦略について探求します。RSIは市場の「買われすぎ」や「売られすぎ」の状態を示す強力なツールですが、他の指標や分析方法と組み合わせることで、その効果をさらに高めることができます。

ボリジャーバンドを組み合わせた戦略

一つ目の分析方法として、相対力指数(RSI)ボリンジャーバンドを組み合わせた戦略を掘り下げていきましょう。 特に、市場が過熱し売りエントリーが有効となるケースを例に取り上げます。この組み合わせは、価格の行きすぎた伸びやトレンド転換の可能性を判断するのに役立ちます。

相対力指数(RSI)×ボリンジャーバンド

相対力指数(RSI)の詳細はこちら 相対力指数(RSI)の詳細はこちらをご覧ください。
ボリンジャーバンドの詳細はこちら ボリンジャーバンドの詳細はこちらをご覧ください。

戦略条件①

・相対力指数(RSI)75%以上
・ボリンジャーバンド+2σ以上

売りエントリーの条件①は、相対力指数(RSI)75%以上で、なおかつ終値がボリンジャーバンド+2σを超えた時点とします。
相対力指数(RSI)75%以上でも、価格がボリンジャーバンド+2σ以下であったり、価格がボリンジャーバンド+2σ以上でも、相対力指数(RSI)75%未満であった場合は、条件は未達となります。

RSIとボリンジャーバンドの組み合わせ

RSIが75%を超えると、買われすぎ状態であると見なされ、価格が頂点に達しようとしている可能性があります。また、ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心に、その上下に標準偏差を基にしたバンドを描く指標で、 価格が+2σ(上側バンド)を超えると、市場が過熱していると見なされ、これも売りシグナルと考えられることがあります。
RSIとボリンジャーバンドの両方が特定のレベルを超えることで、強い売りシグナルを示しています。これは価格が短期的にピークに達した可能性があり、調整または逆転の可能性があることを示唆しています。


RSIとボリンジャーバンドの弱点

RSIとボリンジャーバンドを組み合わせた逆張り売買手法は、市場の過熱を捉えて反転を予測する有効な戦略です。 しかし、この手法には一つ顕著な弱点があります。それは、市場が強い上昇トレンドにある時に誤った売りシグナルを生じやすい点です。

弱点の詳細

  1. RSIの挙動
  2. 強い上昇トレンドの中で、RSIが70%以上に留まり続けることがあります。この期間中、価格はさらに上昇する可能性が高いにもかかわらず、RSIは市場が過買い状態にあると示唆します。この状況では、RSIが高い値を示しても、それが即座に価格の逆転を意味するわけではありません。

  3. ボリンジャーバンドの挙動
  4. 強い上昇トレンドの中で、価格がボリンジャーバンドの+2σバンドに沿って上昇し続ける場合もあります。この現象は、ボリンジャーバンドが拡大を続ける中で、市場が継続的に強い勢いを保っていることを示します。従来の考え方では、+2σを超えると売り時とされますが、強いトレンドではこのシグナルが誤りとなる可能性があります。


RSIとボリンジャーバンドの弱点


戦略条件②

・ボリンジャーバンド+1σ以下

条件①が達成された後に、価格がボリンジャーバンドの+1標準偏差(σ)を下回る場合、売りエントリーを実施します。

この手法は、誤ったシグナル「だまし」を避けるために重要なステップです。強い上昇トレンド中には、ボリンジャーバンドの+2σに沿って価格が上昇し続ける「バンドウォーク」という現象が観察されることがあります。 この状況では、価格が+1σと+2σの間を上昇し続けることが一般的です。条件①が達成されたとしても、このバンドウォークが継続し、価格がさらに上昇する可能性があるため、慎重なアプローチが求められます。

ボンドウォークとは

そこで、強い上昇トレンドを避け、より確度の高い売りエントリーポイントを見つけるために、条件②を導入します。価格がボリンジャーバンドの+1σを下回った時点で、バンドウォークのパターンが終了し、価格の逆転や調整の可能性が高まると見なされます。 この条件により、市場の動きに対するより慎重なアプローチを取り、不確実性を減らしながら売りエントリーを実行することが可能になります。

RSIとボリンジャーバンドの組み合わせ条件
RSIとボリンジャーバンドの組み合わせ条件②

この売買戦略では、条件②(価格がボリンジャーバンドの+1標準偏差(σ)を割り込む)が満たされた場合でも、市場の動きは予測不可能な要素を持っており、シグナルが誤り、いわゆる「だまし」となって再び価格が+1σを超えるケースが存在します。 このような状況が発生すると、価格が上昇トレンドに戻り、バンドウォークのパターンが再度形成される可能性があり、これは上昇トレンドの継続を示唆します。そのため、価格が再び+1σを超えた時点で、既に開いている売りポジションを撤退することが推奨されます。
(※ダマシを回避する方法としては、+1σを割り込む期間を一定時間設けるなどのフィルターをかける等の手段が有効かもしれません。)

このアプローチにより、不必要なリスクを避け、損失を最小限に抑えることが可能になります。価格が+1σを超えて戻ることは、市場のセンチメントが変化していることを示す重要な兆候であり、早期にポジションを閉じることで、より大きな損失を防ぐことができます。このように、売買戦略を実行する際には、市場の変動性と不確実性を常に意識し、柔軟な対応を心がけることが重要です。


MACDを組み合わせた戦略

RSI(Relative Strength Index、相対力指数)とMACD(Moving Average Convergence Divergence、移動平均収束拡散指標)を組み合わせた売買手法は、 二つの異なるテクニカル指標の強みを利用して、市場の過熱状態トレンドの転換点を特定する戦略です。ここでは、特に売りシグナルに焦点を当てた手順を説明します。

相対力指数(RSI)×マックディー(MACD)

MACD(マックディー)の詳細はこちら MACD(マックディー)の詳細はこちらをご覧ください。

戦略条件①

・相対力指数(RSI)75%以上

この条件では、RSIが75%を超えることで市場が過買い状態にあることを示します。 RSIは0から100までのスケールで表示され、通常、70以上を過買い(価格が上昇し過ぎている可能性がある状態)、30以下を過売り(価格が下落し過ぎている可能性がある状態)とみなします。 75%以上のRSI値は、その資産が特に強い上昇トレンドにあることを示していますが、これは価格が短期的なピークに達し、逆転する可能性があることを示唆しているため、売りシグナルの第一段階と考えられます。


戦略条件②

・MACDが売りシグナルを示した後の売りエントリー

条件②では、RSIによる過買い状態の識別後、MACDが売りシグナルを示すことを確認してから売りエントリーを行います。 MACDは、短期移動平均線と長期移動平均線の差をもとにしており、この差(MACDライン)とその移動平均(シグナルライン)のクロスオーバーを売買のシグナルとします。 MACDラインがシグナルラインを下から上に突き抜ける(ゴールデンクロス)場合は買いシグナルとされますが、上から下に突き抜ける(デッドクロス)場合は売りシグナルと見なされます。


相対力指数(RSI)とマックディー(MACD)の組み合わせ条件

この手法により、RSIが強い過買い状態を示し、その後MACDがトレンドの弱まりや逆転を示唆する売りシグナルを出した場合にエントリーします。これにより、単一の指標による誤ったシグナルを減らし、売買の確度を高めることができます。

この組み合わせによる売買手法は、価格のピークやトレンドの転換点をより正確に捉えることを目的としています。RSIが示す過買いの警告と、MACDが示すトレンドの勢いの減少や逆転の兆しを組み合わせることで、リスクを管理しつつ効率的に市場から利益を得る機会を増やします。しかし、いかなるテクニカル分析も市場の未来を完全には予測できないため、慎重なリスク管理とともに、他の市場分析と組み合わせて使用することが推奨されます。


2つのテクニカル分析を組み合わせるメリットとデメリット

テクニカル分析の指標を組み合わせるアプローチは、トレード戦略において多角的なな視点を提供し、 市場の動向をより正確に解釈するのに役立ちます。しかし、この手法はメリットとデメリットの両方を持っています。

メリット
  1. シグナルの信頼性向上
  2. 複数の条件を組み合わせることで、誤シグナル(だまし)を減らし、より高確率な売買を実現することができます。
  3. 多角的な分析
  4. 複数の指標を用いることで、市場の動きをより深く理解し、より確実な投資判断を行うことができます。
デメリット
  1. 分析の複雑化
  2. 複数の指標を分析する必要があるため、分析作業が複雑化し、時間と労力がかかります。
  3. シグナルの減少
  4. 条件を厳しくすることで、シグナルの発生頻度が減り、取引機会が減少する可能性があります。

複数のテクニカル分析を上手に使いこなせば、トレードの成功率を高めることができます。 ただし、これを実践するには、各指標がどんなサインを出しているのか意味合いをしっかり把握し、それらの情報を市場全体の状況と合わせて考える必要があります。 つまり、単に数多くの指標を見るだけではなく、それぞれの指標から得られる情報をどう解釈し、全体の分析にどう生かすかがカギとなります。



tradingview社のチャートを利用しています。

執筆者の写真

監修:安村 武彦

国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト(CFTe)・AFP(日本FP協会認定)
大阪府出身。1987年に商品先物業界に入社。2005年末に業界を離れ、2006年より専業トレーダーとして商品・株式・FXの売買で生計をたてる。個人投資家が相場で勝つためには、投資家目線のアドバイスが必要不可欠と感じ業界へ復帰。真のアドバイザーを目指し現在に至る。個人投資家向けに開催する一目均衡表のセミナーは非常に分かりやすいと好評を得ている。

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