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相対力指数(RSI)とは相対力指数(RSI)とは

相対力指数(RSI)

相対力指数(RSI)は、J.W.ワイルダーによって開発された、オシレーター系指標の中でも特に有名なテクニカル分析ツールです。オシレーター系指標は、市場の過熱状態を測定するために用いられ、特に市場が買われ過ぎまたは売られ過ぎの状態にあるかを示すことに焦点を当てています。

相対力指数(RSI)のシグナル
相対力指数(RSI)の例

RSIが70%を超えた場合、買われ過ぎの可能性があり、売りシグナルと捉えることができます。同様に、RSIが30%を下回った場合、売られ過ぎの可能性があり、買いシグナルと捉えることができます。


相対力指数(RSI)の計算式
① RS=(n日間の終値の上昇幅の平均)÷(n日間の終値の下落幅の平均)
② RSI= 100 - (100 ÷ (RS+1))

相対力指数(RSI)は、通常14日間をパラメーターとして利用します。

相対力指数(RSI)の計算イメージ

相対力指数(RSI)は、指定期間内の価格変動における上昇幅と下降幅の比率を数値化する指標です。例えば、上昇幅と下降幅がそれぞれ1000円であった場合、全体の価格変動幅(上昇幅と下降幅の合計)は2000円となります。このとき、上昇幅が全体の変動幅に占める割合は1000円/2000円であるため、RSIは50%と算出されます。


相対力指数(RSI)の具体例

金標準先物(2024年1月)の相対力指数の具体例です。

相対力指数(RSI)の具体例


相対力指数(RSI)の計算
日数 値上がり幅 値下がり幅 RSI
1月4日 32 - 51.72%
1月5日 68 - 56.47%
1月9日 - 119 47.64%
1月10日 29 - 49.70%
1月11日 80 - 54.98%
1月12日 - 10 54.21%
1月15日 90 - 59.65%
1月16日 35 - 61.57%
1月17日 - 35 58.58%
1月18日 - 32 55.90%
1月19日 106 - 62.08%
1月22日 - 45 58.34%
1月23日 43 - 60.77%
1月24日 - 32 58.06%
1月25日 - 51 53.93%
1月26日 30 - 55.91%
1月29日 25 - 57.56%
1月30日 1 - 57.63%
1月31日 34 - 59.97%
2月1日 - 16 58.34%
2月2日 18 - 59.67%
2月5日 6 - 60.13%
2月6日 - 2 59.88%

金標準先物の1月31日の相対力指数(RSI)の計算方法です。

終値 9,671円 34円高

【1月31日の上昇幅の平均】
(25.68円(前日までの上昇幅平均)×13日+34円(当日の上昇幅))÷14日=26.27円

【1月31日の下落幅の平均】
(18.88円(前日までの下落幅平均)×13日+0円(当日の下落幅))÷14日=17.53円

26.27円÷(26.27円+17.53円)=0.5997(59.97%)

※ワイルダーの上昇・下落幅の平均の計算式は下記の通りです。

最初の上昇幅平均=(14日間の上昇幅の合計)÷14
平均上昇幅=(前日までの上昇幅平均×13+当日の上昇幅)÷14

最初の下落幅平均=(14日間の下落幅の合計)÷14
平均下落幅=(前日までの下落幅平均×13+当日の下落幅)÷14


相対力指数(RSI)の問題

相対力指数(RSI)で見るとⒶとⒷの値動きでは、どちらが買われすぎでしょうか?

相対力指数(RSI)のクイズ


相対力指数(RSI)で見るとⒶとⒷの値動きでは、どちらが買われすぎでしょうか?ヒントは過熱感です。



Ⓐの方がⒷよりも価格がかなり上昇しているよね。答えは簡単だね。


ⒶのRSIの計算
14日間の上昇幅平均:50.95円
14日間の下落幅平均:30.92円

RSIは、50.95÷(50.95+30.92)=62.23%

ⒷのRSIの計算
14日間の上昇幅平均:20.21円
14日間の下落幅平均:8.43円

RSIは、20.21÷(20.21+8.43)=70.56%

相対力指数(RSI)の答え
正解は、Ⓑです。(70.56%)

相対力指数(RSI)は、市場の過熱状態を示す指標です。例えば、状況Ⓐでは価格が高くなる傾向にありますが、その過程で価格の大幅な下落が見られます。一方、状況Ⓑでは価格の上昇が緩やかでも、大きな下落は発生せずに上昇が続いています。

市場では、利益確定のために価格が一方向に連続して動くことは珍しく、通常は「調整」と呼ばれる上昇と下落の繰り返しにより価格が変動します。

RSIが指摘するのは、このような調整期間を経ずに価格が一方向へ過度に動いている場合の過熱感です。



相対力指数(RSI)の注意点
トレンド相場では「ダマシ」が増える

トレンド相場では、価格が一方方向に動き続けるため、RSIは常に高値圏または安値圏に張り付いてしまいます。そのため、RSI指標で示される「買われすぎ」や「売られすぎ」のシグナルに「ダマシ」が多くなります。トレンド相場では逆方向のシグナルを出してしまう可能性が高くなります。

相対力指数(RSI)のだまし


シグナル点灯が反転のサインではない

相対力指数(RSI)が30%未満になると、一般には「売られすぎ」と見なされ、70%を超えると「買われすぎ」と見なされます。しかし、RSIがこれらのレベルに達したからといって、価格が直ちに反転するとは限りません。実際には、価格がさらに下落してRSIが20%未満になることもあれば、価格が上昇し続けてRSIが80%を超えることもあります。

相対力指数(RSI)のだまし2


「ダマシ」を回避するには?
  1. 複数の時間枠を分析する
  2. 短期間のRSIが示すシグナルは、市場の一時的な変動によるものであることが多く、それが相場の転換を必ずしも示唆しているわけではありません。一方、長期間のRSIは市場の一時的な変動の影響を受けにくいため、ダマシが少ないという特徴があります。


    短期チャートの相対力指数(RSI)

    RSIのシグナルを活用する際は、より長い時間軸のチャートも合わせて確認することが重要です。

    長期チャートの相対力指数(RSI)

    短期間のRSIでシグナルが現れても、長期間のチャートを見るとそのシグナルが確認できない場合があります。このような状況では、誤ったシグナル、すなわちダマシに遭遇するリスクが高まります。


  3. 他のテクニカル指標との組み合わせ
  4. RSIと他のテクニカル分析ツール(例:移動平均線、MACD、ボリンジャーバンドなど)を組み合わせることで、信頼性の高いトレードシグナルを識別できます。 複数の指標が同じ方向を指している場合、そのシグナルの信頼性は高まります。

  5. トレンドを考慮する
  6. 市場の主要なトレンドを理解し、その方向に沿ったトレードを行うことで、ダマシを減らすことができます。例えば、上昇トレンド中は買いシグナルに、下降トレンド中は売りシグナルに重点を置きます。

  7. サポートとレジスタンスを利用する
  8. RSIが買われ過ぎや売られ過ぎの領域に達した時に、価格が重要なサポートやレジスタンスレベルに達しているかどうかを確認します。これらのレベルでの反発やブレイクは、RSIシグナルの信頼性を高める追加的な確認となり得ます。

  9. RSIの期間の選択
  10. RSIの計算には通常14日間が用いられますが、短期間を使うとより敏感になり、長期間を使うとより滑らかなRSI曲線が得られます。期間を長めにすることでシグナルの点灯は遅くなりますが、ダマシを減らすことができます。

相対力指数(RSI)とは

相対力指数(RSI)はオシレーター系の分析ツールとして広く認知されており、売買のタイミングを視覚的にわかりやすいシグナルで示唆します。しかし、RSIを含むテクニカル分析の手法全般に共通することですが、シグナルが示された時の背景と意味を深く理解して使用することが不可欠です。特に、RSIはレンジ相場では有効なシグナルを提供する可能性が高い一方で、強いトレンドが存在する市場環境下ではその効果が低下することがあります。したがって、テクニカル指標の特性を踏まえ、市場の状況に応じた適切な利用を心がけることが重要です。


相対力指数(RSI)を応用したトレードについてはこちらをご覧ください。

一歩先をいく相対力指数(RSI)の使い方① 一歩先をいく相対力指数(RSI)の使い方①
相対力指数(RSI)とボリジャーバンドを組み合わせた戦略 相対力指数(RSI)とボリジャーバンドを組み合わせた戦略


tradingview社のチャートを利用しています。


執筆者の写真

監修:安村 武彦

国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト(CFTe)・AFP(日本FP協会認定)
大阪府出身。1987年に商品先物業界に入社。2005年末に業界を離れ、2006年より専業トレーダーとして商品・株式・FXの売買で生計をたてる。個人投資家が相場で勝つためには、投資家目線のアドバイスが必要不可欠と感じ業界へ復帰。真のアドバイザーを目指し現在に至る。個人投資家向けに開催する一目均衡表のセミナーは非常に分かりやすいと好評を得ている。

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