【取組高と出来高から見る金価格】今日の相場解説 (2024.10.17)デイリーマーケットレビュー
最終更新日: 2024-10-24
ページ制作日: 2024-10-17
取組高(とりくみだか)と金価格の関係
情報サイト「マーケットEye」の読者や会員の皆様や、まだ会員ではないもののオープンコンテンツをお読みいただいている方々からのお問い合わせの中で、特に多いのが「GOLD」についてのご質問です。
ご存知のように、本日も金は史上最高値を更新し、1キロの現物価格は田中貴金属の小売価格で1,419万8,000円となりました。1999年の1キロ100万円でお釣りがあった時代を思い出すと、その変化は驚異的です。「失われた30年」と言われる日本経済の中で、GOLDに関しては「輝かしい25年」と言えるでしょう。
前置きが長くなりましたが、ここから現在のGOLD市場についてお話ししていきます。
まずは、「今日の相場解説」で15日に【金小売価格が初の14,000円台に】で提示した目標価格を振り返ってみましょう。
12,848円通過12,895円通過- 12,993円
- 12,970円
- 13,092円
- 13,112円
- 13,115円
- 13,120円
そして、フィボナッチ・エクステンション(2023年10月第1週終値8,713円・2024年7月第2週終値12,344円・2024年8月第1週終値11,463円を基に算出)
- 23.6%:
12,320円通過 - 38.2%:
12,850円通過 - 50.0%:13,279円
- 61.8%:13,707円
上記価格を掲載しました。15日の高値は12,841円、終値は12,746円、出来高は36,614枚でした。
また、11日に取り組み枚数が、約20%(7,536枚)増加したことを書いていましたが、15日終了後の取り組みは7,212枚減少し、前日増加した分がそのまま減少する結果となりました。
金先物(日足)
8月初旬から急減している取り組みについては、証拠金の引き上げが大きな影響を与えていると考えられます。
(8月5日:JSCCによるAS-VaRパラメータの臨時見直し350,000円→708,000円)
証拠金が一気に倍近く引き上げられたことで、価格の下落と相まって取り組みが大幅に減少した要因です。
取組高の増減の経過を振り返ると、今年3月からの価格上昇に伴い、4月半ば頃から取り組みの増加が顕著になりました。
6月初頭に一時的にピークを迎え、その後7月にかけて取り組みは減少しました。価格は6月前半の安値から7月初頭の最高値に向けて上昇しましたが、その後の下落時に取り組みに再びピークが見られました。
その後、先述したAS-VaRパラメータの臨時見直しによる証拠金の倍増(8月6日)により、取組高は急激に減少することになりました。
11日と15日の取り組み高の増減は、CFD取引に関連する要因である可能性が高く、個人投資家が大きく動いたわけではないと考えられます。
ここでおさらいです!
取組高とは、マーケット(市場)において、まだ決済されていない建玉の数のことを指します。
例えば、取組高が10,000枚という場合、マーケットに未決済の買玉が10,000枚、売玉が10,000枚残っていることを意味します。
取組高は市場のボリュームを表しており、各銘柄の人気度合いを示していると言っても過言ではありません。人気のない銘柄は参加者が少なくなり、当然取組高も減少しますよね。
また、取組高と相場の関係については、次のようなポイントが挙げられます。
- 上昇相場での取組高の増加:上昇相場への人気が継続していることを示し、強気と考えられる。
- 上昇相場での取組高の減少:市場から資金が流出している可能性があり、上値が近づいていると見られるため、弱気と考えられる。
これらの考え方は絶対ではありませんが、覚えておいて損はないでしょう。
NY金先物(日足)
上記のチャートは、NY金先物価格を示しています。
国内外を問わず、上昇相場の初期には取組高の増加が堅調に現れます。そして、取組高が減少に向かうと、相場も下落のタイミングを迎えることが多く見られます。
出来高(できだか)と金価格の関係
取組高だけでなく、出来高も価格に大きく影響を受ける要素のひとつです。
出来高とは、特定の時間内に取引された数量のことを指します。具体的には、株式や先物、商品などの取引市場で、売買が成立した取引の合計数を表します。出来高が多いほど、その銘柄が多くの投資家によって取引されていることを意味し、市場の活発度や関心度を示す重要な指標の一つです。
金先物(日足)
上記のチャートは、昨年の年末にかけての金標準先物の日足チャート(出来高と取組高を含む)です。
特に注目すべき価格帯に到達した際には、出来高の増加が顕著に確認できます。
① 2023年10月16日
この日は、金標準先物の価格が2023年9月21日の高値を突破し、「過去最高値を更新」しました。
このタイミングで、出来高は80,933枚という大商いとなりました。相場が高値更新を迎えた際、取引量が急増し、多くの参加者が新たな相場の動きに反応していたことが見て取れます。
② 2023年12月7日~8日
この期間、金先物価格は瞬間的に「初の10,000円台」を記録しました(7日の始値9,714円、高値10,028円、安値9,689円、終値9,839円)。
その翌日、12月8日には達成感から一転して急落し、終値は9,670円にまで下がりました。
この2日間の出来高は、7日で80,395枚、8日で82,110枚となっており、特に心理的な節目である10,000円を超えたことで、多くの投資家が取引に参加したことが反映されています。
出来高増加のポイント
出来高が急増するタイミングは、相場の特定の状況や市場参加者の行動によって大きく影響されます。
- 価格の節目や重要なレジスタンス・サポートを突破したとき 市場が新たな高値や安値をつけた場合、買いまたは売りの参加者が増加し、出来高が急増することがよくあります。 たとえば、心理的な節目である10,000円や1,000ドルなどの大台を突破するタイミングは、多くの市場参加者が注目し、出来高が急増する典型的な例です。
- 重要な経済指標やニュースが発表されたとき 雇用統計、GDP、金利発表など、重要な経済指標が発表された後や地政学的リスクが高まった際に、価格の急変動が起こり、取引量が増えることがあります。
- トレンドの転換点やボトム・天井形成時 上昇トレンドや下落トレンドが終わりに近づき、相場が転換するタイミングで出来高が急増することが多いです。 特に長期にわたるトレンドが転換する際、買いや売りの手仕舞い(ポジション整理)が一気に行われ、出来高が大きくなります。
- 市場参加者のポジションの巻き戻し(ロスカットや利益確定) 急激な値動きにより、多くの投資家がポジションを巻き戻す(利益を確定する、損失を確定する)場面で出来高が急増します。特に急騰や急落が続いた後に、大規模なポジション整理が発生することが多いです。
市場はこのような情報に敏感に反応し、価格の急騰や急落を引き起こすため、出来高も増加します。
これらのタイミングで出来高が急増する理由は、相場参加者の売買が集中しやすくなるためです。特に価格の節目や大きなニュースが発生した際は、相場の方向性が大きく変わることが多く、出来高の増加が顕著に現れます。
本日の相場解説ポイント
世界的な経済不安やインフレリスクの高まりが背景にあり、安全資産としての金への需要が一層強まっていることが、価格上昇を後押ししています。これにより、金価格は連日史上最高値を更新し続ける状況が続いています。
金先物(月足)
今回、この取組高と出来高を取り上げている理由は、長年金相場を取引している方にとって、JPX先物市場で金が13,000円台に到達しそうな状況や、現物価格が1キロ1,400万円を超えると、「高い!高すぎる!」といった値頃感が働きやすいからです。 しかし、最近金に注目し始めた方々は、かつて金が800円台で取引されていたことを知らないため、単純に「価格が上昇しているから今後も上がり続ける」と考えて買い注文を出したり、現物を購入している傾向があります。
金先物(日足)
現状では、金価格が高値更新を続けているため、テクニカルプライスを確認し、価格が通過した際には次のターゲット価格を意識しておくことが重要です。
9月13日からは前日安値を割ることなく推移しており、9月30日と10月1日の二日間だけ前日安値を割りましたが、その際も短期指標によってサポートされました。次に前日安値を割ったのは10月9日で、この日も短期指標がサポートとなり、その後も前日安値を割れていません。
トレーリングストップの設定に関しては、すでに答えが見えているのではないでしょうか?価格の動きが大きい今、トレーリングストップを設定することで利益を確保しつつ、急落にも対応できる準備をしておくことが肝要です。
買いポジションを持つ方は、いつ暴落が起こるかわからないため、小さな利益で決済してしまいがちですが、その後再び買い直すケースも多く見られます。
これを繰り返すと、最終的には天井付近でポジションを持ってしまうことがあります。しかし、トレーリングストップを設定しておけば、利益を守りつつ、トレンドが変わってもリスクを最小限に抑えることが可能です。
現在のように大きな値動きが続く中で、自律調整が起こると、その値幅も大きくなることが予想されます。ですので、テクニカルプライスをしっかりと意識しておくことがさらに重要です。
トレーリングストップとは、相場の変動に応じて利益を確保しながらリスクを管理するための注文方法の一つです。具体的には、価格が有利な方向に動くたびに、設定した一定の値幅(または割合)で損切りラインを自動的に引き上げていく注文です。
例えば、買いポジションを持っている場合、価格が上昇すればトレーリングストップも追随して上がりますが、価格が反転して下落した場合には設定された損切りラインに到達すると、自動的に売却されます。これにより、利益を確保しつつ、大きな損失を防ぐことができます。
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Tweet※tradingview社のチャートを利用しています。
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