【原油価格の行方を占う重要な節目とは?】今日の相場解説 (2024.10.16)デイリーマーケットレビュー
最終更新日: 2024-10-24
ページ制作日: 2024-10-16
原油の価格動向
本日は、ここ数日下げ続けている原油について取り上げます。金が本日も史上最高値を更新している一方、原油は静かに価格を下げています。まさに対照的な動きですね。
ちょうど1週間前に原油に関する記事を書きましたが、その内容はアーカイブからご覧いただけます。この記事で注目していたポイントは、以下の通りです。
国内原油相場は、10月8日の高値70,670円が重要なポイントになる可能性があります。
7月4日の高値84,120円から9月12日の安値58,120円までの下げ幅に対する戻りの黄金比率は次の通りです。
- 38.2%戻し=68,050円
- 50.0%戻し=71,120円
- 61.8%戻し=74,190円
この数値を見れば、50%戻しの手前で失速したことがわかります(NY原油は61.8%戻し手前で失速)。
国内と海外の戻り幅に違いがあるのは、為替の影響も考えられますが、共通しているのは「黄金比率の価格が意識されていること」です。 また、RSIの過熱感を確認する際の見方も、同様のアプローチが可能です。
国内市場では8月14日と8月16日の同値W高値である71,340円が上値の抵抗として控えています。 そのため、さらなる上昇を期待するには、50%戻しの71,120円とW高値71,340円という2つのテクニカルプライスを突破しなければなりません。
これを条件に、今後のポジションを考えることができるでしょう。
現在(11月16日13時)の価格は66,000円前後で動いています。高値の70,670円からは4,680円下げており、原油の倍率が50倍であるため、
4,680円 × 50倍 × 1枚(最低取引枚数)=234,000円の損益が発生しています。
この高値で買った方はマイナス、一方で空売りをした方はプラスとなっています。
先週の高値を支えた要因の一つは、イスラエルがイランの石油施設や核施設に対して報復攻撃を行うのではないかという緊張感でした。
しかし、米ワシントン・ポスト紙による報道では、イスラエルは石油や核施設ではなく、軍事施設への報復攻撃を行う見通しとのことです。
この報道を受け、原油相場は急落していますが、イスラエル側はこの報道を肯定も否定もしておらず、実際に石油施設への攻撃が見送られるかどうかは依然として不透明です。
ドバイ原油先物(日足)
10月8日以降の動きを振り返ると、特に10月15日の動きが注目されます。
ただし、この価格には祝日取引も含まれており、実質的には2日分の動きとなります。具体的には、10月11日の夜間取引で一時69,980円まで戻したものの、10月15日の朝から急激に下落しました。
その過程で、10月10日に付けた66,940円を下回ると、一気に売りが加速し、昨日は最終的に66,550円で取引を終えています。
流れを復習すると、10月8日の高値70,670円から10月10日に66,940円まで下落し、その後10月11日の夜間取引で一時69,980円まで回復。 しかし、10月15日の朝に再び66,940円を割り込み、その際、一時的に52日移動平均線も割れる場面がありました。
次に、現在の位置がテクニカルプライスと比較してどの位置にあるのかを確認してみましょう。
ドバイ原油先物(日足)
まず、10月2日の60,500円から10月8日の70,670円までの上昇幅に基づくと、以下のような節目が見えます。
- 38.2%戻し: 66,790円
- 50.0%戻し: 65,590円
- 61.8%戻し: 64,380円
現在の安値は65,270円で、50%戻しをやや超えた位置で止まっています。
さらに、9月12日の58,250円から10月8日の70,670円までの上昇幅で見た場合、以下のようなポイントが考えられます。
- 38.2%戻し: 65,930円
- 50.0%戻し: 64,460円
- 61.8%戻し: 62,990円
国内の価格としては、今日の安値65,270円が10月2日からの上昇幅の50%戻しである65,590円を割り込むかどうかがポイントです。 このレベルを下回ると、次に注目すべき安値のポイントは、両方のテクニカルプライスで近い位置にある「64,380円」と「64,460円」となります。
海外原油価格
海外の原油価格も確認してみましょう。
NY原油先物(日足)
海外市場でも同様に価格は下落していますが、NY原油は既に52日移動平均線を下回っています。 10月1日の安値66.33ドルから10月8日の高値78.48ドルまでの上昇幅に対して、黄金比に基づく下落の節目は以下の通りです。
- 38.2%戻し:73.84ドル
- 50.0%戻し:72.41ドル
- 61.8%戻し:70.97ドル
昨夜の安値は69.71ドルで、終値は70.58ドルとなりました。
次に、9月10日の安値65.27ドルから10月8日の高値78.48ドルまでの上昇幅に対する黄金比では、以下のようなポイントが見えます。
- 38.2%戻し:73.43ドル
- 50.0%戻し:71.88ドル
- 61.8%戻し:70.32ドル
これに基づくと、昨夜の安値は61.8%戻し(70.32ドル)付近が意識されたことになります。
さらに、マニアックな数値として、69.2ドルと68.39ドルという2つの注目価格が下に控えていますが、現時点ではその水準にはまだ到達していません。
つまり、注目すべき価格帯まで下落しているのは事実であり、NY原油に関してはここで反発する可能性も残されています。
また、昨年12月以降の「70ドル付近の岩盤説」(70ドル以下の価格は瞬間的にしか出ないという説)も依然として有効ですが、この説が崩壊する可能性も頭の片隅に入れておくべきでしょう。
NY原油先物(日足)
実は、NY原油は一目均衡表で見ると、現在「雲の下」で取引されており、いわば「雨が降っている」状況です。雲が薄くなり抜けやすくなるのは15営業日後で、ちょうど米国大統領選挙の前後に当たります。
※米国大統領選挙は「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と法律で定められており、2024年の投票日は11月5日です。
このままの動きが続き、すぐに雲の中に戻ることができなければ、しばらくの間は雲の下限付近で上値が抑えられる展開が続く可能性があります。
ドバイ原油先物(日足)
国内原油価格も一目均衡表で確認すると、現在の動きが非常に重要な局面に差し掛かっていることがわかります。
このチャートから、価格が雲の下に位置しており、今後の動きとしては横ばいで雲の中に戻るか、雲に沿ってさらに下落するかの2つのシナリオが考えられます。
最初に述べたテクニカルプライス、つまり支持線やレジスタンスの水準が維持されるかどうかが、今後の価格の動向を左右するポイントとなるでしょう。
雲の動きや価格が雲に入るタイミングにも注目しながら、相場の展開を見守る必要があります。
本日の原油相場のポイント
本日の原油相場のポイントは以下の通りです。
海外市場では、「70ドルの岩盤説」が継続できるかどうかが焦点となります。この価格帯での反発が見られるか、もしくはさらに下落するのか、慎重に見極める必要があります。
材料面でのニュースやイメージがトレードに影響を与えることはよくありますが、こういった時こそ、冷静に客観的な視点で相場を見つめることが重要です。
特に、感情に左右されやすい状況では、テクニカルプライスを活用することで、明確な判断基準を持つことができます。これにより、感情的な取引を避け、リスク管理を徹底したトレードが可能になります。
材料が豊富なときこそ、市場の動きを冷静に分析し、テクニカル指標やプライスアクションを基にした戦略的な取引が有効です。
特に、強力なサポートラインやレジスタンスラインを意識して、明確なトレードプランを立てることが、迷いを防ぐ鍵となります。
海外原油価格の支持線
ドバイ原油先物(日足)
NY原油価格には、70ドルラインが強力な支持線として存在しています。
この価格帯は、過去の相場でも何度もサポートされており、「岩盤」とも称されるほど重要な水準です。
現時点でも、この70ドルラインを維持できるかどうかが大きな焦点となっており、もしこのサポートを下回ることがあれば、さらなる下落圧力がかかる可能性があります。
逆に、70ドルラインで反発するようであれば、テクニカル的に反転の兆しとして市場参加者の注目を集め、上昇トレンドへの転換が期待される場面となるでしょう。
このラインの維持・反発を慎重に見守ることが重要です。
最後におまけ!
今日の日経平均の午前中のチャートです。
日経平均株価(日足)
「あれ?この形は・・・」以前からご覧いただいている読者の方であれば、「はっ!」となるはずです。
もし「はっ!」とならなかった方は、ぜひバックナンバーをご覧ください!
この記事が役立ったらシェアをお願いします!
Tweet※tradingview社のチャートを利用しています。
- ご注意ください。
-
当サイトの情報は各アナリストがテクニカル分析に基づき作成したもので、相場の動向を保証するものではありません。
売買に際しての最終判断はあくまでもご自身でご決定ください。 商品関連市場デリバティブ取引及び商品先物取引は元本や利益が保証されるものではなく、 価格の変動により場合によっては委託証拠金の額を上回る損失が生じることもあります。 為替、日経平均株価の分析は、商品市場分析の参考データとしてご提供しております。 当社では、外国為替証拠金取引及び日経平均指数先物取引の取り扱いはしておりません。
なお、予告なしに内容が変更又は、廃止される場合がありますのであらかじめご了承ください。
お取引の際は事前に 重要開示事項 等を十分ご理解のうえ、ご自身の判断で行なって頂けますようお願い申し上げます。