【WTI原油価格はトランプ大統領復帰でどうなる?】今日の相場解説 (2024.11.08)デイリーマーケットレビュー
最終更新日: 2024-11-08
ページ制作日: 2024-11-08
WTI原油のテクニカルプライス
トランプ大統領の誕生によって注目を集めている銘柄の一つが原油です。現在のWTI原油価格について、CFDなどで取引されている方にも参考になる情報を提供します。
WTI原油先物(日足)
WTI原油価格を4月12日の高値87.67ドルから9月10日の安値65.27ドルまでの下落幅に基づく黄金比率を見てみると以下の水準が得られます。
- 38.2%戻し:「73.83ドル」
- 50.0%戻し:「76.47ドル」
- 61.8%戻し:「79.11ドル」
10月8日の「高値78.46ドル」は、61.8%戻し手前で止まったことが確認できます。この大きな流れの中で、現在の72ドル台は38.2%戻しの73.83ドルを意識した動きとなっていると考えられます。
WTI原油先物(日足)
さらに直近の動きに注目すると、大統領選挙でトランプ大統領が勝利した日の値動きは、安値が69.74ドルで9日移動平均線でサポートされて終値は71.69ドルとなりました。
価格がすべての移動平均線の上で引けています。 昨夜の動きでも、前日の高値を超える動きが見られた上に、前日安値を割り込まずに推移しています。
10月8日の高値78.46ドルから10月29日の安値66.72ドルの下落に対する戻り水準は次の通りです。
- 38.2%戻し:「71.20ドル」
- 50.0%戻し:「72.59ドル」
- 61.8%戻し:「73.98ドル」
昨夜の高値72.88ドル(終値72.36ドル)は、72.59ドルの半値戻しをわずかに上回っていました。 このため、WTI原油に関しては、大きな流れにおける38.2%戻しの「73.83ドル」と、直近の下落における61.8%戻しの「73.98ドル」の、この二つの価格が非常に重要な上値のテクニカルプライスとして考えられます。
一方で、現在の状況は10月8日の高値78.46ドルを頂点とし、9月の72ドル台の高値と現在の72ドル台の高値によって山を形成している途中であると見ることもできます。
WTI原油先物(日足)
現在、WTI原油は一目均衡表の雲と接触しながら推移しており、この雲を突き抜けると久しぶりに「青空」の下での動きとなります。
ただし注意が必要なのは、雲が薄いため、もし下落した場合にはサポート力があまり強くない点です。
さらに長期的な視点で見ると、今年4月の高値87.67ドルの前に昨年9月の高値95.03ドルが存在します。
この95.03ドルから9月10日の安値65.27ドルまでの下落に対する黄金比率を計算すると、次の水準が得られます。
- 38.2%戻し:「76.6ドル」
- 50.0%戻し:「80.2ドル」
- 61.8%戻し:「83.7ドル」
これらの水準を踏まえると、もし上昇が継続すれば、10月の高値に接近する動きが見られても特に不思議ではありません。
WTI原油先物(日足)
また、トレンドラインを確認すると、現在の動きと黄金比率で示される抵抗価格がどのような関係にあるかが重要なポイントです。 これらの水準を見ながら、トレンドラインの価格との接点が大きな変化の兆しを示しているのかどうかを確認することが求められます。
トランプ大統領復帰の影響は?
材料面からも考察してみましょう。トランプ大統領が復帰したことで、市場にはさまざまな思惑が広がっています。
例えば、「ウクライナ戦争の終結」によってロシアからの原油供給が正常化する可能性があります。
現在、ロシアはウクライナとの紛争によって国際的な制裁や輸出規制を受けており、エネルギー市場にも大きな影響を及ぼしています。
これにより、ヨーロッパを中心に原油の供給が不安定となり、エネルギー価格が高騰してきました。もし戦争が終結すれば、これらの制裁が解除または緩和され、ロシア産の原油が再び安定的に供給されるようになるかもしれません。
その結果、世界市場における原油の供給量が増加し、価格が下落する可能性があります。
さらには、「中国に対する関税強化」が再び行われることで、経済成長が鈍化している中国経済がさらに悪化することになり、原油需要の減少を引き起こすリスクも考えられます。
トランプ大統領の復帰によって中国への経済制裁が再開される場合、世界的な影響が大きいと考えられます。
原油市場においても、中国が世界最大の原油輸入国であるため、中国の経済動向は価格に大きな影響を与えることが予想されます。
また、過去にトランプ大統領が就任していた期間中、彼の政策や発言が原油価格に影響を与えたことは何度も見られました。
例えば、トランプ政権下でのエネルギー政策では、アメリカの「シェールオイル生産が増加」し、国内エネルギー産業の強化が図られた結果、原油市場において供給の増加が価格に圧力をかける要因となりました。
一方で、イラン核合意の離脱や制裁強化などの地政学的要因が、原油価格の乱高下を招いたこともあります。今回の復帰によって、これらの政策の復活や新たな動向が見られる可能性があり、市場の注視を集めています。
このように、原油市場はさまざまな強材料と弱材料が混在する状況にあり、市場がどの材料を重視するかで価格が大きく変動する可能性があります。WTI原油については、引き続きテクニカルプライスを重要視しながら、市場の動向を見極めることが重要です。
国内ドバイ原油価格
ドバイ原油先物(日足)
国内の原油先物であるドバイ原油については、前回の記事で次のように分析しました。
- 38.2%戻し:68,130円(11月8日終値は68,360円)
- 50.0%戻し:71,190円
- 61.8%戻し:74,240円
10月8日の戻り高値70,670円は、50%戻しの71,190円や8月14日の高値71,340円を意識した動きとなっています。さらに、10月21日の安値である64,550円にも注目しており、現在の状況では、9月12日の安値を起点とした上昇トレンドがまだ継続していると見られます。
もし64,550円を下回るようであれば、この上昇トレンドの考えを見直し、撤退するべきでしょう。
ただし、ここ数年では6万円以下の安値で売り込まれにくいパターンが続いていることも考慮する必要があります。
さらに、最近では金との逆相関関係も見られるため、もし金が現在の高値から下落を始めた場合、これまで目立たなかった原油が再び注目を集める可能性があります。
原油が本当に注目されるためには、「70,670円」(10月8日高値)、「71,190円」(50%戻し)、「71,340円」(8月14日高値)という「抵抗価格の三銃士」を突破することが条件となります。
この水準を超えた場合には、さらなる上昇を期待して追撃参戦も検討できるでしょう。
現在もこの考えに大きな変化はありません。
ドバイ原油先物(日足)
一目均衡表においては、ドバイ原油が7月以来初めて雲の上空に出た形となっており、「青空の下」で動き出す準備が整っているように見えます。これにより、さらなる上昇を期待できる局面に差し掛かっていると言えるでしょう。
また、金との逆相関関係を考慮すると、もし金の下落が続く場合、これまで比較的静かだった原油が大きく動き出す可能性も引き続き注視しておきたいところです。このような状況では、原油の市場動向に注目し、価格変動が大きくなる局面に備えておくことが重要です。
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