【政局の混迷が市場を揺るがす?重要なテクニカルポイント】今日の相場解説 (2024.10.28)デイリーマーケットレビュー
最終更新日: 2024-10-28
ページ制作日: 2024-10-28
自公政権過半数割れ
選挙が終わり、自民・公明の与党は過半数を大幅に下回り、大敗という結果となりました。与党が過半数割れをするのは2009年の政権交代以来、15年ぶりのことです。 2009年8月30日に行われた当時の選挙では、以下のような劇的な結果が記録されています。
2009年総選挙結果選挙前 | 選挙後 | 増減 | |
---|---|---|---|
自民党 | 300 | 119 | -181 |
公明党 | 31 | 21 | -10 |
民主党 | 115 | 308 | +193 |
2009年の選挙では、自民党が大敗を喫し、政権交代という劇的な結果となりました。当時の自民党総裁は麻生太郎氏、公明党の代表は太田昭宏氏でしたが、この選挙の結果を受けて、麻生氏は総裁を辞任し、後任として谷垣禎一氏が野党に転じた自民党の総裁に就任しました。
また、公明党の太田昭宏氏は代表でありながらも選挙で落選するという異例の事態が発生しました。これに伴い、山口那津男政調会長が公明党の新しい代表に就任しました。
選挙結果としては、与党自公系が140人、野党系が322人、その他が18人となり、当時の定員480人の中で与党は過半数を大きく割り込む結果となりました。今回の選挙と比べても、2009年の政権交代のインパクトがいかに大きかったかがわかります。
この選挙により、民主党が圧倒的多数を占め、党首である鳩山由紀夫氏が首相に就任することとなり、日本の政治に大きな変革をもたらしました。
民主党政権下の相場
日経平均株価(月足)
民主党政権下では、株価は低迷しました。これは、前年に発生した「リーマンショック」の影響が大きかったためです。
※麻生政権がここまで大敗したのも、リーマンショックによる景気低迷が原因の一つです。
さらに、2011年には東日本大震災が発生し、日本経済に大きな打撃を与えました。この影響で、株価も大幅に下落し、震災直後の日経平均株価は9,000円を大きく割り込み、一時8,000円台にまで下がりました。
その後、復興需要や世界経済の改善の兆しもあり、若干の持ち直しが見られたものの、大きな回復には至りませんでした。
ドル円(月足)
民主党政権下(2009年~2012年)の為替市場は、円高が顕著に進行した時期として知られています。 この期間中、世界的な経済不安や日本の政策が複雑に影響し、特に輸出企業にとっては非常に厳しい状況となりました。以下に、民主党政権下の為替市況の推移とその要因をまとめます。
- 2009年 民主党政権が発足した直後の2009年8月末、1ドル=約93円の水準で始まりました。当初は比較的安定していたものの、世界的な金融危機の影響が続き、安全資産とされる円が買われる状況が続きました。
- 2010年 円高の進行が加速し、10月には1ドル=80円台に突入しました。この円高進行は、リーマンショック後の不況で日本以外の主要国が金融緩和を強化する中、日本円が比較的安定した資産と見なされ、需要が高まったためです。 また、当時の民主党政府の円高対応策が明確でなかったことも円高を助長した一因となりました。
- 2011年 東日本大震災が発生し、一時的にリスク回避の動きで円が売られる場面もありましたが、その後急速に円高が進行しました。10月には、「1ドル=75円台」という戦後最高値を記録しました。 この歴史的な円高水準は、世界的な経済不安と、日本が震災復興のために資金を海外から還流するとの見方が重なったことにより、さらに円の買い圧力が強まったことが要因でした。
金標準先物(月足)
民主党政権下では、金価格が大幅に上昇しました。これは、海外の金価格が上昇した影響を受けたためです。
海外ではリーマンショックの影響を受けて各国が大幅な金融緩和を継続しており、その結果、金に対して通貨の価値が相対的に下落しました。
これにより、ドル建ての金価格が上昇し、円高が進んでいたにもかかわらず、国内の金価格も上昇することとなりました。
さらに、日本国内では経済の先行き不安や低金利が続き、安全資産である金の需要が高まりました。このように、国内外の経済不安や金融緩和政策が重なり、金価格の上昇を促す結果となりました。
2009年から2012年11月の解散まで続いた民主党政権の間には、リーマンショックの影響や東日本大震災といった歴史的な出来事が相次ぎ、日本経済や市場にも大きな影響が及びました。
こうした時期を振り返ることで、当時と現在の違いを把握し、参考にしていただければと思います。
今後の注目されるテクニカルプライス
金標準先物(日足)
本日も安値は前日安値を割り込んでいますが、高値は前日高値を抜けており、市場は揺さぶられています。
週末の記事でも触れたように、短期指標を下回らない状況が続いているものの、10月24日の高値は未だに突破されていません。このため、市場が新たな領域に飛び出すのか、それとも「13,572円」を前に失速するのか、依然として決着がついていない状態です。
前日安値を割り込んだことで、週末にポジションを整理した方々が再度エントリーを考えるには、まだ決定打が見られず、出来高もさほど増加していません。
この状況では新規の仕掛けも慎重になる必要があり、逆張りでのエントリーを考える場合はロスカットラインを設定することが重要です。具体的なポイントとしては、「13,572円」、「13,597円」、「13,617円」を挙げておきます。
ドル(日足)
先週の段階では、61.8%戻し水準の「153.31円」手前でやや円高に振れていましたが、選挙結果を受けて円安が進行し、153.31円を通過しています。 次のテクニカルプライスとしては156.66円が意識されますが、今週から来週にかけてはドル円に関するイベントが多いため、国内の選挙結果よりもこれらのイベントでの市場反応に注目が集まると考えられます。
- 10月31日 日本・「日銀政策金利」
- 11月01日 米国・「雇用統計」
- 11月01日 米国・「大統領選挙」
- 11月08日 米国・「FOMC」
また、今回の動きでは窓を開けているため、この点も考慮した対応が求められます。市場の変動に対して適切なリスク管理を行い、今後のイベントによる影響を見据えたポジション調整が重要です。
日経平均株価(日足)
日経平均は反発しており、週末の段階で過半数割れを織り込んだような動きを見せています。週末には「52日移動平均線(MA)」を下回る動きが見られましたが、本日の戻りの水準は短期指標価格となっており、10月15日から10月24日までの下げ幅の38.2%戻しが38,680円に位置しています。 現在の高値が38,658.74円であることから、この反発はあくまで自律反発の範囲内と考えられます。
本日のポイント
10月27日の総選挙により、自公政権は過半数の議席を獲得することができませんでしたが、依然として「比較第一党」の地位を維持しています。【自民党194議席、立憲民主党148議席】
この状況は、2009年の政権交代時のような大きな変化とは異なります。
また、過半数割れはしたものの、1993年のような政権交代の状況とも異なります。
1993年7月の衆議院選挙では、自民党が第1党の地位を維持しつつも過半数を割り込み、非自民・非共産の8党派による連立が実現し、細川連立政権が誕生しました。
今回も自公以外の勢力が連立を組めば政権交代は可能ですが、立憲民主党、維新、国民、共産党などの間には政策理念に大きな違いがあるため、実際に連立を組む可能性は低いと考えられます。
そのため、過半数割れの状況下でも、自公政権は引き続き存続する可能性が高いでしょう。
ただし、首班指名で石破総裁が首相に指名されたとしても、法案を可決するには、他党の協力が不可欠となります。衆参での「ねじれ」以上に法案が通らない状況が予想され、政権運営には困難が伴うでしょう。
今後、政局が混迷する可能性が高く、各党の動向や連携に注視していく必要があります。
政局が相場に与える影響は小さくありません。
- 金 小型のWボトム形成が期待されるか、新たな領域に飛び立つかの重要な局面です。ただし、すぐ上にもテクニカルプライスが控えており、上昇には引き続き慎重な見方が必要です。
- ドル円 本日終了時点で153.39円以上で引けるかが注目ポイントとなります。ドル円における最大のイベントは11月5日の米国大統領選挙の結果待ちであり、それまでの動向に警戒が必要です。
- 株価(日経平均) 10月15日高値40,257円~10月24日安値37,712円の「38.2%戻し38,684円」を巡る攻防が、明日の注目点です。この水準を超えられるかどうかで、今後の方向性が見えてくる可能性があります。
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