【プラチナ価格の攻防戦が示す次の展開】今日の相場解説 (2024.10.21)デイリーマーケットレビュー
最終更新日: 2024-10-24
ページ制作日: 2024-10-21
プラチナの価格動向(2024年)
寒暖差が大きくなってきています。皆さん、体調管理には十分気をつけましょう。トレードを行う上でも、メンタルはもちろんのこと、健康も非常に大切です!
さて、本日はプラチナについてお話しします。私が若い頃、プラチナはゴールドよりも高価で、宝飾品のプレゼントでもプラチナの方が女性に喜ばれることが多かったものです。それだけ、プラチナの希少価値が高かったということです。
しかし、現在の先物価格(執筆時点)では、ゴールドが「13,136円」に対して、プラチナは「4,895円」と大きな差があります。(いずれもJPX先物価格です)
本日、ゴールドは史上最高値を5日連続で更新し、13,142円まで上昇。田中貴金属の小売価格(税込)は14,430円となり、1キロあたりの価格は1,443万円に達しました。
このゴールドとプラチナの価格差については後ほど詳しく触れますが、まずはプラチナの現状についてご説明します。
白金標準先物(日足)
まず、5月20日に年初来の最高値である5,482円を記録しましたが、その後、8月6日に最安値の4,129円まで下落しました。
白金標準先物(日足)
8月6日の安値からは一旦回復し、8月16日には4,593円まで戻りましたが、大きな戻しとはならず、9月5日には再び下げて4,175円まで下がりました。しかし、この時に8月6日の最安値4,129円を割ることなく、下げ止まりました。
次に、9月24日には再び4,593円まで回復し、8月16日の高値と同じ水準に達しましたが、その日は大きく売られて終値は4,466円で終了。この時点で「Wトップ」(二つの山を作るパターン)が形成されるかと思われました。
しかし、その後、26日移動平均線でサポートされ、9月26日には価格が4,671円まで上昇し、4,593円を突破しました。これにより「Wトップ」ではなく、8月6日と9月5日の「W底」(二つの底を作るパターン)が形成される可能性が高まりました。
現在は、主要な安値を割らずに高値を超える動きが続いており、上昇の兆しが見えています。
このように、プラチナ価格は安値を切り上げつつ、回復基調にあることが確認できます。
フィボナッチ比率からの分析
白金標準先物(日足)
現在のプラチナ価格の位置について確認します。
本日(執筆時点)の高値は4,900円となっています。この価格が、以下の主要な高値と安値からの戻し率と返し率に対して、どの位置にあるかを見ていきます。
5/20の高値5,482円~8/6の安値4,129円の下落幅(1,353円)に基づく黄金比率
- 38.2%戻し:
4,646円(通過済み) - 50.0%戻し:
4,806円(通過済み) - 61.8%戻し:4,965円(未通過)
7/8の高値5,326円~8/6の安値4,129円の下落幅(1,197円)に基づく黄金比率
- 38.2%戻し:
4,586円(通過済み) - 50.0%戻し:
4,728円(通過済み) - 61.8%戻し:
4,869円(通過済み
8/16の高値4,593円~9/5の安値4,175円の下落幅(418円)に対する拡張
- 1.382倍返し:
4,753円(通過済み) - 1.5倍返し:
4,802円(通過済み) - 1.618倍返し:
4,851円(通過済み) - 2倍返し:5,011円(未通過)
まとめ 現在の価格4,900円は、5月以降の主要な下落に対する61.8%戻しである「4,965円」手前に位置しています。また、7月からの下落に対する61.8%戻しの4,869円も通過していないため、この付近での価格推移が注目されます。返し率に基づくと、1.618倍返しの4,851円を超えており、次の目標となる2倍返しの「5,011円」が視野に入ってきます。
一目均衡表からの分析
白金標準先物(日足)
一目均衡表の値幅観測と現状のテクニカルプライスの確認について、以下のように整理します。
一目均衡表の計算結果
その①(9/5の4,175円 → 9/27の4,733円 → 10/1の4,468円)
- E計算式:5,291円
- N計算式:5,026円
- V計算式:4,998円
その②(9/5の4,175円 → 10/7の4,793円 → 10/10の4,527円)
- E計算式:5,411円
- N計算式:5,145円
- V計算式:5,059円
相対力指数からの分析
白金標準先物(日足)
連騰とRSIの比較
本日で8連騰目に入っており、5月20日の高値を付けた際の9連騰と比較すると、今回の上昇にはまだ過熱感が見られません。5月の時には上昇幅が582円ありましたが、現在の8連騰での上昇幅は333円であり、これは5月時の57.2%程度です。
RSIの観点でも、5月20日時点のRSIが「83.16ポイント」に達していたのに対し、現在のRSIは「68.6ポイント」と、まだ過熱感は少ない状態です。ただし、注目すべき点は、5月以降の戻り局面でRSIが70ポイントを超えたことが一度もないという事実です。これからRSIが70ポイントを超え、祭りのような「激熱」場面が到来するかどうかに注目が集まります。
テクニカルプライスの考察(まとめ)
現在の価格は4,851円や4,869円という重要なテクニカルプライス付近にあり、この価格帯で攻防が続いている可能性があります。
このレンジでの決着がつけば、次のターゲットとしては「4,957円」、「4,965円」や「4,998円」が注目されます。これらの価格を超えることができれば、さらなる上昇が期待できます。
一方で、本日の終値が「4,869円」や「4,851円」を下回るかどうかは、次の相場の方向性を見極める上で重要なポイントとなります。
このように、複数のテクニカルプライスが集まるエリアでの動きが、今後の相場を決定する重要な局面となっています。
プラチナの需要について復習
プラチナの主な需要について復習します。プラチナは、その希少性と高い耐久性、また触媒としての優れた特性から、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。以下が主な用途です。
自動車産業- 触媒 排気ガスを浄化する触媒として使用されています。プラチナは特にディーゼル車の排ガス浄化装置に多く使われます。
- 燃料電池車 水素燃料電池車の普及に伴い、プラチナの需要は増加すると見られています。燃料電池のスタック部分に大量のプラチナが使用されるためです。
- 高級素材 プラチナは、その希少性と美しさから、婚約指輪や高級時計などの高級宝飾品に使用されています。耐久性があり、変色しにくいため、長く愛用されるアイテムに適しています。
- 電子部品 プラチナは、ハードディスクドライブや半導体製造装置など、精密機器の製造に使われています。
- 化学工業 医薬品や染料などを製造する化学反応の触媒としても広く利用されています。プラチナの触媒としての能力は、化学産業で重要な役割を果たします。
- インフレヘッジ プラチナは、金と同様にインフレに対するヘッジ資産として、投資家に注目されています。希少性や市場の流動性から、投資対象としても一定の需要があります。
このように、プラチナは多岐にわたる分野で利用されており、自動車や宝飾品、工業用途、さらには投資商品としての需要が存在します
長期視点からのプラチナの価格変動
白金標準先物(日足)
2008年の「高値7427円」からの急落は歴史的な動きであり、現在の価格動向でも重要な指標となっています。特に、「5000円の壁」はプラチナ価格の長期的な上昇を阻む主要な抵抗ラインであり、この水準を突破することで、さらなる価格上昇が期待されます。
今後、価格が上昇するためには、5000円の壁を突破し、長期的な目線で見ても重要な戻り水準である5459円を超えることが重要なポイントとなります。
白金と金の価格差
月足ベースで見た場合、プラチナ価格が5,000円の壁に直面している一方で、ゴールドは史上最高値を更新しています。このため、「白金と金の価格差」は次のように推移しています。
白金と金の価格差(月足)
2015年以降、プラチナ価格がゴールド価格を下回る状態が続いており、現在に至るまで一度も白金が金を上回ることはありません。特に、2023年以降、その価格差は急激に広がっています。
かつての感覚や常識からすると、これだけ白金が金に比べて価値が低くなっているため、「白金買い・金売り」のポジションを取る投資家が増えているという相談が、今年に入ってから多く寄せられています。
このマイナス価格差の最大の要因は、ゴールドの上昇が非常に強いことです。多くの投資家が予想していなかった13,000円台までの上昇が起こり、白金も上昇してはいるものの、金の上昇ペースがそれを大きく上回っているのが現状です。
その結果、「白金買い・金売り」のポジションを取った投資家たちは、予想とは裏腹に価格差がさらに拡大し、その戦略がうまく機能しなかったという状況にあります。
今日の相場解説まとめ
① まず、「4957円」、「4965円」、そして「4998円」が今後の相場において重要なポイントとなります。これらの価格を突破することで、さらなる上昇が期待されます。一方で、本日の終値が4869円や4851円を下回っているかどうかも、次の展開を判断する上で重要な指標となります。
② 現在の市場は、過去の常識が通用しない相場となっています。プラチナと金の価格差やその動きに象徴されるように、相場は常に進化しており、以前の価格推移や常識に基づく予測が難しい状況です。今後も柔軟な対応が求められるでしょう。
この記事が役立ったらシェアをお願いします!
Tweet※tradingview社のチャートを利用しています。
- ご注意ください。
-
当サイトの情報は各アナリストがテクニカル分析に基づき作成したもので、相場の動向を保証するものではありません。
売買に際しての最終判断はあくまでもご自身でご決定ください。 商品関連市場デリバティブ取引及び商品先物取引は元本や利益が保証されるものではなく、 価格の変動により場合によっては委託証拠金の額を上回る損失が生じることもあります。 為替、日経平均株価の分析は、商品市場分析の参考データとしてご提供しております。 当社では、外国為替証拠金取引及び日経平均指数先物取引の取り扱いはしておりません。
なお、予告なしに内容が変更又は、廃止される場合がありますのであらかじめご了承ください。
お取引の際は事前に 重要開示事項 等を十分ご理解のうえ、ご自身の判断で行なって頂けますようお願い申し上げます。