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投資の心理学②「認知バイアスとは」投資の心理学②「認知バイアスとは」

最終更新日: 2024-07-30

ページ制作日: 2026-06-07

認知バイアス

投資において、客観的な分析と論理的な判断は不可欠です。しかし、人間は誰でも無意識のうちに「認知バイアス」と呼ばれる思考の癖を持っており、それが投資判断を誤らせ、損失を招くことがあります。
認知バイアスとは、人間の思考や判断に影響を与える無意識の思考パターンや偏りのことです。これらのバイアスは、情報を処理する際に効率的な道筋を提供する一方で、誤った結論や非合理的な判断を導くことがあります。

投資において特に注意すべき認知バイアスは、多くの投資家が無意識に陥りやすいもので、投資判断を歪める原因となります。以下に、主要な認知バイアスとそれぞれの対策について詳しく説明します。


確証バイアス(人は自分の意見に都合の良い情報だけを集める)

確証バイアスとは、既に持っている信念や仮説を支持する情報だけを重視し、反する情報を無視する傾向のことです。投資家は、自分が正しいと信じる投資判断を支持するニュースやデータを探し求めがちです。 自分の意見や信念に合致する情報ばかりを集め、反対意見を無視してしまう傾向です。投資では、有望な銘柄の情報ばかりを集め、リスクを過小評価してしまう可能性があります。

買い建玉を持っている時、つい上昇を裏付ける情報ばかり集めてしまう経験はありませんか?

確かに、都合の良い情報に触れることは安心感を与えてくれます。しかし、同時に、下落を示唆する情報は意図的に無視してしまうことも事実です。これは、人間誰もが陥りやすい「確証バイアス」と呼ばれる心理的な傾向です。

例: A社の株式を購入した投資家が、A社に関するポジティブなニュースやアナリストの買い推奨レポートにのみ注目し、ネガティブなニュースやリスクに関する情報を無視する。

投資と感情

しかし、このような情報偏りは、本当に中立な判断を可能にしているのでしょうか?

買い建玉によって視野が狭まり、都合の良い情報だけに目がくらむと、冷静な分析や客観的な評価が難しくなります。結果的に、本来回避できたはずのリスクを見逃したり、損失を拡大させてしまう可能性も高まります。


確証バイアスの克服方法
確証バイアスによる偏りを避けるためには、建玉を行う前に十分な情報収集を行い、決済までの明確な方針を定めておくことが重要です。

具体的には、以下のステップを踏むことで、より客観的な判断を導く情報収集が可能になります。

  1. 投資対象の徹底的な分析: 投資対象となる銘柄や市場について、過去の動き、現在の状況、将来展望などを幅広く調査し、客観的な評価を行います。
  2. リスクシナリオの検討: 想定されるリスクシナリオを洗い出し、それぞれの発生確率と影響度を分析します。
  3. 投資計画の策定: 許容損失額、投資期間、利益目標などを明確に定めた投資計画を策定します。
  4. 情報収集の指針: 投資計画に基づき、必要となる情報を収集するための指針を定めます。
建玉を行う前に情報収集と方針を定めておくことで、
  • 感情に流されず、客観的な判断に基づいた投資行動が可能になります。
  • 確証バイアスによる情報偏りを防ぎ、リスクを回避することができます。
  • 投資計画に基づいた、より効果的な資産運用を実現することができます。

投資において、確証バイアスは常に付きまとう敵です。
上記のような対策を講じることで、その影響を最小限に抑え、冷静かつ合理的な判断を導き出すことが可能になります。
投資判断の精度を高め、より確かな利益を目指すためには、確証バイアスを克服することが不可欠です。



自信過剰バイアス

自信過剰バイアスは、自分の知識や判断力を過大評価する心理的な傾向です。特に、成功体験を持つ投資家は、自分の判断が常に正しいと信じることがあります。 投資において、自分の能力や判断力を過剰に評価し、リスクを軽視してしまうのが「自信過剰バイアス」です。これは、人間の持つ自然な心理の一つであり、投資判断を曇らせ、時に大きな損失を招く可能性があります。 自信過剰バイアスは、投資家が自分の知識や判断力、予測能力を過大評価し、リスクや不確実性を過小評価する心理的傾向です。このバイアスにより、投資家は自己の判断に対して過度の自信を持ち、慎重な分析や他の意見を軽視することが多くなります。

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自信過剰バイアスの具体例
  • 過去の成功体験に固執する:過去の投資で成功した経験があると、同じような投資方法や銘柄を選びたくなる気持ちは自然なものです。しかし、過去の成功体験が必ずしも将来も通用するとは限りません。市場環境や経済状況は常に変化しており、過去の成功体験に固執することで、新たな投資機会を逃したり、リスクの高い投資を続けてしまう可能性があります。

  • 過剰なトレードを行う:自信過剰な投資家は、自分の判断に自信を持っているため、頻繁に売買を繰り返す傾向があります。しかし、過剰なトレードは手数料コストを増加させ、利益を圧迫する可能性があります。


アンカリングバイアス

アンカリングバイアス(Anchoring Bias)は、最初に得た情報に強く影響され、その後の判断や意思決定がその情報に引きずられる心理的現象を指します。投資においてもこのバイアスは顕著に現れ、投資家が初期の価格や予測に固執してしまうことがあります。

「アンカー」とは船の漂流を防止する「いかり」を意味します。この比喩が示す通り、アンカリングバイアスは判断の際に自分が最初に得た情報や数字にこだわってしまう傾向を表しています。

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アンカリングバイアスの基本概念

アンカリングバイアスは、人間が新しい情報を評価する際に、初めに提示された情報(アンカー)を基準としてしまう傾向があることを指します。 たとえば、ある株式の最初の価格が100ドルだった場合、その後の価格変動を評価する際に、この100ドルがアンカーとなり、その後の判断が影響を受けます。


投資における具体的な影響
  1. 初期購入価格への固執
  2. 投資家がある株を100ドルで購入したとします。投資家は「この株は本来100ドルの価値がある」と信じているため、80ドルの価格を受け入れがたいと感じます。

  3. 過去の高値や安値の影響
  4. 過去の高値や安値に基づいて、現在の価格を評価し、判断を下すことがあります。たとえば、ある銘柄が過去に150ドルで取引されていた場合、投資家はその価格に戻ることを期待してしまいがちです。

  5. 予測の偏り
  6. 同じ株が過去数年間にわたり安定した成長を続けていた場合、投資家はその過去の業績に基づいて将来も同様の成長が続くと信じる傾向があります。投資家は過去のパフォーマンスに固執し、新しい情報や市場の変化を軽視することになります。


アンカリングバイアスを克服する方法
  1. 意識的な認識
  2. アンカリングバイアスの存在を認識し、その影響を受けないように意識することが重要です。自分が特定の情報に固執しているかどうかを定期的に確認しましょう。

  3. 多様な情報の収集
  4. 様々な情報源から情報を収集し、初期の情報に依存しないようにすることが必要です。これにより、バランスの取れた視点を持つことができます。

  5. 定期的な評価
  6. 自分の投資判断を定期的に見直し、アンカリングバイアスによる影響を受けていないか確認することが重要です。市場の変化や新しい情報を反映させるための柔軟性を持つことが求められます。

  7. プロフェッショナルの助言
  8. 専門家の助言を受けることで、客観的な視点から自分の判断を評価することができます。これにより、バイアスの影響を最小限に抑えることが可能です。


正常性バイアス

正常性バイアス(Normalcy Bias)は、人々が危機や異常事態に直面した際に、「自分は大丈夫だ」「何も悪いことは起こらない」と考え、リスクを過小評価しがちな心理的傾向を指します。 投資においてもこのバイアスは顕著に現れ、市場の異常事態やリスクを過小評価し、適切な対応を怠ることがあります。


正常性バイアスの基本概念

正常性バイアスは、異常な事態が発生した際に、人々が「これは一時的なもので、すぐに元通りになる」と考え、事態の深刻さを認識せずに通常通りの行動を続ける傾向を指します。 このため、適切な対策を講じることが遅れ、結果的に被害が大きくなることがあります。

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投資における具体的な影響
  1. 市場の急変動に対する無関心
  2. 市場が急激に下落したり、異常なボラティリティが発生したりしても、「すぐに元に戻るだろう」と考え、ポートフォリオの見直しやリスク管理を怠ることがあります。

  3. リスクの過小評価
  4. 経済指標や企業の業績に明らかな悪化が見られるにもかかわらず、「これは一時的なもの」と捉え、必要な対応を先送りすることがあります。

  5. 適切な対応の遅れ
  6. 異常な市場状況に迅速に対応せず、リスクを過小評価することで、結果的に損失が大きくなることがあります。


例えば、リーマンショックのような大規模な金融危機が発生した際、多くの投資家は初めのうち「これは一時的な下落で、すぐに回復するだろう」と考え、ポートフォリオの見直しやリスク管理を怠ったケースがありました。 その結果、対応が遅れ、大きな損失を被った投資家が多かったのです。

正常性バイアスは、異常事態を過小評価しがちな心理的傾向であり、投資判断においてもその影響を認識し、適切なリスク管理と迅速な対応を心がけることが重要です。


認知バイアスと向き合う

認知バイアスは、投資家の意思決定に大きな影響を与え、適切な投資判断を妨げることが多々あります。冷静な判断をしているつもりでも、さまざまなバイアスによりその判断は偏ってしまいます。 投資において、認知バイアスの影響を最小限に抑えることは極めて重要です。これを達成するためには、まず自分自身がどのようなバイアスに陥りやすいかを認識することが必要です。自己認識を高めることで、バイアスに左右されにくい判断ができるようになります。


tradingview社のチャートを利用しています。

執筆者の写真

監修:安村 武彦

国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト(CFTe)・AFP(日本FP協会認定)
大阪府出身。1987年に商品先物業界に入社。2005年末に業界を離れ、2006年より専業トレーダーとして商品・株式・FXの売買で生計をたてる。個人投資家が相場で勝つためには、投資家目線のアドバイスが必要不可欠と感じ業界へ復帰。真のアドバイザーを目指し現在に至る。個人投資家向けに開催する一目均衡表のセミナーは非常に分かりやすいと好評を得ている。

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